フラッシュ2024年6月18日
-
気候変動/エネルギー
低酸素濃度チタンの大量製造へ道筋、東大が新技術
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、酸素濃度が極めて低いチタンの大量製造を可能にする新技術を開発した。チタンは、チタン酸化物を主原料とするチタン鉱石をチタンの塩化物に転換してから製造するが、生産効率が著しく低く、コストが高い。また、製造工程で大量の二酸化炭素が発生する。
今回開発した技術では、希土類元素のオキシフルオロライドの生成反応を利用してチタンを製造する。この手法を採用することで、塩化物などの中間化合物に変換する必要がなくなり、酸化チタン原料から酸素濃度が十分に低い金属チタンの直接製造が可能になる。特にイットリウム(Y)とフッ化イットリウムを利用すると、酸素濃度を0.02質量%まで下げたチタンを製造できる。
また、この技術を利用することで、不純物である酸素を多く含むチタンのスクラップや同様に酸素を多く含むチタン合金のスクラップから、高純度の金属チタンやチタン合金にアップグレードすることも可能になる。スクラップをアップグレードすることは、鉱石から金属を製造する工程に比べて低コストで環境負荷も小さいという。
研究成果は6月12日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Google’s antitrust gut punch and the Trump wild card グーグルに帝国解体の危機、米司法省がクローム売却も要求
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #31 MITTR主催「再考ゲーミフィケーション」開催のご案内
- These AI Minecraft characters did weirdly human stuff all on their own マイクラ内に「AI文明」、 1000体のエージェントが 仕事、宗教、税制まで作った
- What’s next for NASA’s giant moon rocket? NASA巨大ロケット、 スペースX台頭で存続危機に 命運握るトランプ&マスク
- This startup is getting closer to bringing next-generation nuclear to the grid 次世代原子炉のカイロス、商用化へ前進 グーグルと大型契約も