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敗血症患者の治療法を検証、強化学習を使ったAIシステムで成果<br />
Marco Leal | Unsplash
Blood infections kill millions—but AI could help

敗血症患者の治療法を検証、強化学習を使ったAIシステムで成果

敗血症はバクテリア感染による合併症で、生命を脅かす可能性もある。全世界で毎年3000万人が感染し、その内5人に1人が死亡している。しかし、ネイチャー誌に掲載された最近の研究によると、強化学習の手法を使って構築されたシステムを利用することで、死亡する患者の数を大幅に減らせる可能性がある。

強化学習は、動物がポジティブなフィードバックを通して学習をする方法からヒントを得た機械学習の手法の1つである。グーグルの人工知能(AI)子会社であるディープマインド(DeepMind)が、囲碁の仕方を自学自習させるプログラムを作成するのにも使っている手法だ。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、米国の133カ所の集中治療室に入院する9万6156人の敗血症患者が受けた治療に関するデータをAIシステムに入力した。データには、入院後72時間の間に投与された医薬品、点滴、昇圧薬(血管を収縮させる薬剤)などについての情報が含まれていた。システムの最終的な目標は、患者を90日以上生存させることだ。

結果は期待以上だった。まだ病院での試験はされていないが、独立機関による検証サンプルと比較すると、プログラムは人間の医師たちよりもはるかに的確に敗血症の治療法を推奨できることが分かった。

このソフトウェアは、医師による深刻な疾患の治療、とりわけ診断の段階における助けとするために開発が進められているAIシステムの1つとなるだろう。たとえば、グーグルの深層学習ツールは、転移性腫瘍を見つけ出すことに関して人間の病理医よりも優れていることが最近証明された。さらに、AIを使って患者のトリアージを支援するアプリも多数登場している。

シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2018.10.24, 9:58
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