位置情報などこっそり収集、グーグルがストーカーアプリを削除
他人のデバイスから情報を収集する可能性がある複数の「ストーカーアプリ」が、合計13万回もダウンロードされていたことが分かった。
サイバーセキュリティ企業のアバスト(Avast)の研究チームは今週、グーグル・プレイストアで7本のストーカーアプリを発見した 。最もインストール数の多い「スパイ・トラッカー(Spy Tracker)」と「SMSトラッカー(SMS Tracker)」は、それぞれ5万回以上ダウンロードされていた。アバストはこれらのアプリをグーグルに報告し、現時点で問題のアプリはすべて削除されている。
ストーカーがこれらのストーカーアプリを使って他人を監視するには、ターゲットとする相手のスマホに直接アクセスする必要がある。まず、アプリをグーグル・プレイからダウンロードし、相手の端末にインストールする。このとき、ストーカーが自分のメールアドレスとパスワードをアプリに入力すると、自分の端末から相手の端末の情報にアクセスできるようになる。
今回報告されたアプリはいずれも、監視相手の位置情報や連絡先、SMSメッセージ、通話履歴を追跡できるものだ。アイコンは表示されないため、被害者はストーカーアプリの存在に気がつかないことが多い。一部のストーカーアプリは、端末へのアクセスすら必要とせず、画像メッセージに偽装して送信できるものもある。
ストーカーアプリは虐待的なパートナーが相手を追跡するのに使うことが多いが、子どもや従業員の追跡に使われるケースもある。
ストーカーアプリに関する研究はまだ少ないため、問題の重大さを把握するのは難しい。だが、虐待問題におけるテクノロジーの役割は増大するばかりだ。家庭内暴力を扱う慈善団体のリフュージ(Refuge)は、同団体が扱う事例のおよそ95%が何らかの形でテクノロジーに基づく虐待が関係していると推定している。
大手テック企業は、監視目的で自社製品が使われることに対して正面から立ち向かい、それに基づく行動を起こしていない。今週のグーグルの行動は前向きなものだとしても、外部の専門家の報告に頼るだけでなく、積極的に問題の一掃に取り組んでほしいものだ。