1日3時間のSNSで精神的健康に影響? 米国新研究
精神医学専門誌「JAMAサイキアトリー (Psychiatry)」に9月11日付で掲載された研究によると、1日3時間以上ソーシャルメディアを利用する10代の若者は、うつ病、不安、攻撃的行動、反社会的行動などの精神的健康上の問題を発症する可能性が高いという。
研究では、約6600人の12歳から15歳の米国人に対し、1日にソーシャルメディアで費やした時間と、精神的健康上の問題が生じたかどうかについて自己申告をしてもらった。すると、過去の精神的健康上の問題の履歴を考慮・調整しても、ソーシャルメディアを1日に3時間以上利用することと、精神的健康上の問題のより高い発生率との間には相関性があることがわかった。
研究論文の著者によると、ソーシャルメディアの利用が10代の若者に及ぼす影響は、主に内部(たとえば、うつ病や不安など)と外部(攻撃的行動または反社会的行動)の2つにはっきりと現れたという。 後者は、ソーシャルメディアを利用していないと申告した同世代の若者の間では基本的に存在しなかった。
研究者らは長年、ソーシャルメディアや画面に向かっている時間など、テクノロジーが子どもや青少年の脳の発達に及ぼす影響を解明するのに悪戦苦闘している。 というのも、研究が終わらないうちに、新しいテクノロジーが開発されるからだ。さらに、相反する結論に達している研究者がいる場合もある。 たとえば、カリフォルニア大学アーバイン校が8月に発表した研究は、テクノロジーと精神的健康との間には関連性がないことを示している。 しかしながら、ソーシャルメディアについては異なるかもしれない。先だって発表された研究では、ソーシャルメディアの利用とソーシャルメディア依存症との間には懸念される関連性があることが見い出されているからだ。
ソーシャルメディアは、人々がそれを理解しようとするよりも速いスピードで変化している。この研究は、自己申告に基づくものであることから、かなり不正確であると言える。というのも、調査に参加した10代の若者が、ソーシャルメディアを実際に申告した時間よりも長い時間利用している可能性や、精神的健康上の問題が自己申告とは種類または重症度が異なる場合があるからだ。とはいえ、ソーシャルメディアの利用実態や精神的健康上の問題を客観的に捉えることは、特に人々が利用するサービスが急拡大していることを踏まえると困難だ。 今日の10代の若者たちの間ではフェイスブックの利用がかなり低くなりつつある一方で、ティックトック(TikTok)の利用が高まってきており、また、スナップチャットやインスタグラムのダイレクトメッセージなど、用途に応じてさまざまなソーシャルメディアを使い分けしている。
ジョンズ・ホプキンス大学の博士課程生であり、この研究論文の筆頭執筆者であるキラ・リームは、3時間の時間制限を具体的な規則として取り入れるべきではないという。リームは、「これは有意義な制限というよりはむしろ、分析の歪みだと思います」とし、「この研究だけでどれだけのことが言えるのかは分かりません。 将来の研究では、ソーシャルメディアの利用に費やされた時間をリアルタイムで追跡することが可能になり、何らかの制限をより正確に推定できるようになるでしょう」と述べている。ともあれ、今回の研究のより拡大した要点として述べられたことは、心に留めておく価値がある。それは、ソーシャルメディアで過度の時間を費やしても、人間の精神状態は良くならないということだ。