KADOKAWA Technology Review
×
10/9「生成AIと法規制のこの1年」開催!申込み受付中

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

温暖化で雲が減少→悪循環に、新研究が示す最悪のシナリオ
Getty | Mario Tama
The loss of clouds could add another 8°C to global warming

温暖化で雲が減少→悪循環に、新研究が示す最悪のシナリオ

地球の3分の2は雲で覆われているが、地球の気温が上昇するにつれ雲は減少し、表面温度がさらに8℃上昇するという温暖化が加速する悪循環に陥る恐れがある。最新の研究で明らかになった。

ネイチャー・ ジオサイエンス(Nature Geoscience )に掲載された論文によると、スーパーコンピューターのシミュレーションで、温室効果ガスにより海上の雲は消失し、今後100年の間に地球温暖化が急激に加速する原因となることが分かった。具体的には、大気中の二酸化炭素の濃度が約1200ppmに達すると、そのリスクが強まる。現在の濃度は約410ppmだが、今後100年の間に1200ppmまで達する可能性がある。

論文の著者によると、今回の状況は約5600万年前の始新世期に起きた大量絶滅に似ている。いわゆる暁新世・始新世境界温暖化極大期(PETM)に、大気中に炭素が急激に放出され、気温が一気に5℃以上上昇した。これが壊滅的な影響を及ぼし、海洋生物の大量絶滅を引き起こした。北極圏でワニが泳げるほどの暑さだった。

この論文を懸念すべきかどうかは、イエスでもありノーでもある。恐ろしい見通しであることは間違いない。人類の文明の終わりを意味するからだ。

しかし多くの仮説があり、そこまで濃度が上がる前にするべき対策がある。将来を懸念すべきかどうかは、取り返しがつかないほど地球がダメージを受ける前に、人類がどれだけ真剣に気候変動に取り組むかによって決まるのだ。

シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.02.27, 7:00
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る