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深層学習で脳細胞解析を自動化、グーグルがオープンソースで公開
This neural network examines neurons. Like, the kind in your brain.

深層学習で脳細胞解析を自動化、グーグルがオープンソースで公開

原子物理学の父」と呼ばれるアーネスト・ラザフォードはかつて、「すべての科学は、物理学か、切手収集かのどちらかです」と語った。もしそうであれば、現在の科学者は幸運だろう。切手収集に相当する部分の作業を、人工知能(AI)がますます担ってくれるようになっているからだ。

深層学習アルゴリズムでは訓練のために大量のデータが必要となる。神経科学の分野では、データは山ほどある。細胞培養により、脳の組織は途方もない数になっている。これらを仕分けし、ラベル付けをする作業はこれまでたいてい、かわいそうなインターンシップや下っ端の研究者に押し付けられているが、限界を超えている。そこで、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経科学者とグーグルの研究者はチームを組んで、培養された組織を用いてシステムを訓練し、退屈な作業の一部を自動化できるようにした。

ワイアード(Wired)によると、訓練されたアルゴリズムによって、 死んだ細胞と生きた細胞を区別したり、1つの細胞内の部分部分を識別したりすることが可能になったという。こうした作業をする際に人間の研究者は蛍光標識をしばしば使用するが、蛍光標識は細胞を傷つけてしまう恐れがある。アルゴリズムを使えば、蛍光標識を使用しなくても済む。

今回のアルゴリズムは、単に時間を節約するだけでなく、サンプルの分析の過程を自動化することで創薬をスピードアップできる可能性がある。グーグルはまた、データセットとモデルをオープンソース化した。つまり、リソースの少ない小規模な研究所でも、この技術を使用できるということだ。

jackie.snow [Jackie Snow] 2018.04.13, 16:58
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