KADOKAWA Technology Review
×
ニュース Insider Online限定
Human translators are still on top—for now

機械翻訳は人間に追いついたのか? 評価方法を検証する

機械学習の目覚ましい進歩によって、機械翻訳はすでに人間に近い精度を持つとされている。だが、機械翻訳の実力を正しく比較するには、評価方法の変更が必要だという。 by Emerging Technology from the arXiv2018.11.16

コンピューター言語学者たちは、ここ数カ月間、機械翻訳がついに人間の翻訳者に追いついたと次々に主張し始めている。

ニューラル・ネットワークを使って文を異言語間で翻訳する手法は、機械学習と人工知能(AI)の絶え間ない大きな進歩のおかげで近年、飛躍的に向上した。だから機械が人間の能力に近づいたといっても、別に驚くべきものではない。事実、コンピューター言語学者らは、主張を裏付ける有力な証拠をすでに手にしている。

だが、チューリッヒ大学の博士課程生であるサミュエル・ローブリらは、シャンパンはまだお預けにすべきだという。研究チームは、同僚の研究成果に反論するつもりはないが、機械翻訳の試験プロトコルは、人間が文書全体をどうやって読むかについて考慮していないと述べている。もしこれを考慮して評価すると、機械の能力は人間よりはるかに遅れをとっているというのだ。

問題は、機械翻訳をどうやって評価すべきかという点だ。 現在のところ、評価は妥当性と流暢性という2つの尺度で評価されている。翻訳が妥当かどうかについては、プロの翻訳者が原文と訳文の両方を読み、原文の意味を訳文がどの程度うまく表現しているかを中心に決めている。流暢性は、単一言語のみを解する読み手が訳文だけを読んで、英語でどれくらいうまく表現されているかを判定して判断する。

コンピューター言語学者は、この方法による評価が役に立つと認めている。しかし、ローブリら研究チームによれば、現在の実施要項は一文レベルのみ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. IU35 Japan Summit 2024: Nobuyuki Yoshioka 「量子コンピューターの用途解明、新たな応用へ」吉岡信行
  2. Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る