クラシック音楽に隠された「進化の法則」、京大の研究者ら発見
京都大学の中村特別研究員と東京大学の金子教授は、16世紀から19世紀における西洋音楽の様式の変化が、進化のプロセスで説明できることを明らかにした。この研究で採ったアプローチは、言語やファッション、科学の進歩など他の文化的現象の理解にも役立つ可能性がある。 by Emerging Technology from the arXiv2018.10.03
音楽学者たちは長年にわたり、音楽の様式が時とともにどう変化するのかを研究してきた。新たな様式が音楽の伝統から生まれ、時には2つ以上の様式の組み合わせから生じることは分かっている。
音楽の様式が変化していく様子は、進化のプロセスを連想させる。強力なプロセスである進化が、生物学的な状況に影響を与えるのと同一の、よく知られた伝播の法則に基づいて、音楽の状況を形成してきたということはあり得るのだろうか。それとも、音楽の進化は作曲家たちの独特な行動の結果に過ぎず、より一般的な特性には従わないのだろうか。
京都大学の中村栄太特別研究員と東京大学の金子邦彦教授による研究のおかげで、1つの答えが得られている。西洋のクラシック音楽の大規模な研究をした結果、数々の進化の法則が働いていることが初めて明らかになったという。この研究結果は、言語、ファッション、科学の進歩など他の文化的現象の理解にも影響を与える可能性がある。
まずは背景を少し説明しよう。進化とは、個体の集団に適用されるアルゴリズム的なプロセスである。進化が起こるには、集団内のそれぞれの個体に、何らかの形で差異がある必要がある。たとえば、外見や行動の違いだ。さらに、これらの個体は、新しい世代の個体に特定の形質(特徴)を引き継がせる(継承させる)能力を持っている必要がある。そして、集団の存在している環境は、特定の形質を持つ個体を選択して生き永らえさせる一方で、別の形質を持つ個体を淘汰するものでなければならない。最後に、これらの段階を何度も繰り返す反復の過程が必要だ。
このプロセスにおける細部の違いは、進化の起こり方の軽微な違いにつながる。ある形質(たとえば、抗生物質耐性)が良い結果をもたらす場合、その形質は、まさに統計的なパターン通りに集団内に急速に広まり得る。
近年では、大規模な遺伝 …
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