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11/30開催! チケット販売中
アマゾンが巨額買収した
スマート・ドアホンが訴える
「犯罪激減」の謎
ビジネス・インパクト Video doorbell firm Ring says its devices slash crime—but the evidence looks flimsy

アマゾンが巨額買収した
スマート・ドアホンが訴える
「犯罪激減」の謎

アマゾンが10億ドルで買収したテレビドアホン機器メーカーの「リング」。同社のドアホンを設置すると地域の犯罪を劇的に減らすことができるという。だが、その根拠は不明だ。 by Mark Harris2018.11.06

アマゾンは2018年2月、テレビ・ドアホンを手がける企業「リング(Ring)」を10億ドルで買収すると発表した(買収完了は4月)。ハードウェア・スタートアップ企業の買収額としては高額だが、リングはただの消費者向けガジェットメーカーで終わりたくないという。リングには、世界中の犯罪を減らすという野心的な目標がある。

リングの動作検知ドアホンは、2013年の発売以来、人気を集めている。専用のスマホ・アプリを使って、住宅所有者が家にいなくとも、訪問者を確認したり応答したりできるのだ。続いて防犯カメラや家庭用ホーム・セキュリティ・システムを発売したリングは、2016年、アマゾンの投資ファンドの目に留まった。2018年9月にシアトルの本社で開催されたイベントでは、アマゾンのデバイス部門の責任者であるデイブ・リンプ上級副社長が、「これ以上崇高な目標はないでしょう」と、リングの犯罪撲滅の目的について述べた。

リングは、目標達成を証明する証拠をいくつか持っているようだ。リングの買収を発表したアマゾンは、2015年のロサンゼルス市警察による試験的プログラムで、リングのドアホンによって、地域の住居侵入窃盗が「55%も」減少したと述べた。

信じたのはアマゾンだけではなかった。最初の試験的プログラムの後、たった10%の家にドアホンを設置しただけで、住居侵入窃盗が減少したと、リングはロサンゼルス郡の各市に伝えたのだ。ほんの数台のドアホンが、犯罪に対する一種の集団免疫を作り出し、地域全体の窃盗を劇的に減らしたという。

「思ったよりずっと効果的だったことは、驚きに値する発見でした」。2018年10月、米IT系メディアであるギークワイヤ(GeekWire)主催の「ギークワイヤ・サミット」で、リングの創業者のジェイミー・スミノフCEOは述べた。「この実験で、リングは設置した家を守るだけでなく、周辺の家も同様に守っていることが分かったのです」(スミノフCEO)。

リングは、地域に対してさらに魅力的な提案をした。定価180ドルのリングのドアホンを100ドル値引いて住民に販売し、各市には販売金額の半分を支払うと申し出たのだ。公式記録によれば、十数の小さな町が、住居侵入窃盗を減らすために、1万ドルから10万ドル規模を約束し、この申し出に飛びついた。2018年9月までにリングは、少なくとも42万ドル相当のリベートプログラムを各地域と交渉していた。

しかし、公的な犯罪データとこれまで未報告だった調査を見る限り、ドアホンによる犯罪数削減が、リングが各市や消費者に示していたレベルに到達すると証明するのは、極めて困難だ。事実、リングとは独立して実施された唯一の調査では、リングのドアホンのない地域は、リングのドアホンのある地域と比べて実際に損害を受けにくいことが示されている。

ロサンゼルスの懸念と窃盗

スミノフCEOは2015年初頭、ロサンゼルスの非営利団体ウィルシャー・パーク協会に、ある提案を持ち込んだ。数百人の住民にドアホンを無料で配り、その上、ドアホンの録画機能やダウンロード機能、プレイバック機能を提供するという。

スミノフCEOに対する反応は、懐疑的だった。「私たちはあまりにも斬新だったため、誰にも理解されなかったのです」と、スミノフCEOはギークワイヤで述べた。「80〜90%の範囲をカバーしたかったのですが、配布できたのはわずか10%でした」。

リングはとにかく前進した。2015年5月から40台のドアホンを設置し、2016年3月、その結果を発表した。周辺地域と比較して、半年間で住居侵入窃盗が55%減少したという。ロサンゼルス市警との共同記者会見の後、リングは熱心なマスコミ報道を受け、近くの各都市でキ …

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2018.11.30
外苑前TEPIAホール
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