遺伝子編集ベビーの衝撃:
大バッシングにも負けない
中国人研究者の言い分
HIVに耐性を持つように遺伝子編集した双子の女児を誕生させたと発表した中国の研究者に対して、著しく倫理に反した行為であると国内外から非難の声がわき上がっている。大学が無給停職の処分を科し、CRISPRの開発者がこうした実験の世界的な停止を呼びかける一方で、当の本人は自身を高尚な目的のための殉教者になぞらえている。 by Antonio Regalado2018.12.03
初の遺伝子編集ベビーを作ったと語っている南方科技大学(Southern University of Science and Technology :SUST、深セン市)の賀建奎(フー・ジェンクイ)准教授は、勤務先の大学から無給停職処分を受け、実験が中国の法律や規制に違反していないか調査を受けている。
MITテクノロジーレビューは11月25日、HIV耐性のある遺伝子編集を施したゲノムを持つ子どもたちを作る、中国の秘密プロジェクトを世界で初めて報じた。
プロジェクトを統率するフー准教授は、後に映像声明を出し、ルルとナナという健康な双子の姉妹が「数週間前に」生まれたと語っている。
フー准教授は、双子の姉妹はIVF(体外受精)によって生まれたが、受精卵に「わずかなタンパク質と、ある情報」を加えたと語った。フー准教授は、CCR5と呼ばれる遺伝子を除去するために、遺伝子編集テクノロジーであるクリスパー(CRISPR)を用いたとみられる。
フー准教授の声明に対し、国内外の専門家たちから、医学的に疑問のある目的のために許容できないリスクを伴う実験を実施したとして、大きな非難の声がわき上がっている。CRISPRの開発者の一人であるブロード研究所のフェン・チャン教授は、体外受精したヒト胚を編集するためにCRISPRを使用することを当面の間、停止するように呼びかけた。
この実験の発起人としてフー准教授とジンジョウ・チンの名前が記載された関連書類には、同実験を実施する承認を深セン和美婦人小児科病院(Shenzhen HorMoni Care Women and Children's Hospital)の倫理委員会から得たと記載されている。
深セン市医療倫理専門 …
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