KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
米中問題を「冷戦」と片付けるのは時代遅れだ
Nico Ortega
ニュース 無料会員限定
The US and China aren’t in a “cold war” so stop calling it that

米中問題を「冷戦」と片付けるのは時代遅れだ

米中の対立を「冷戦」という言葉で表すのは、時代遅れであるだけでなく有害でもある。米ソ対立の時代と違い、サプライチェーンで密接につながった2大国関係は、そう簡単に割り切れるものではないからだ。 by Graham Webster2019.01.17

ニューヨーク・タイムズ紙はここ数カ月間、「冷戦は世界でもっとも高度な産業間で繰り広げられている」ものであり、私たちは「新しい経済冷戦の始まり」を目にしていて、中国の台頭がいわゆる「新しい冷戦」に油を注いでいると報じた。2017年秋に掲載されたワイアードの特集は「私たちを脅かす人工知能(AI)冷戦」と警告している。

このたとえには、分かりやすい響きがある。冷戦という言葉は互いに対峙し、覇権を争う2大国の姿を想像させるからだ。問題は、今日のテクノロジー分野での競争を冷戦になぞらえることは、米国と中国間の相互依存関係を度外視しており、政策立案者が最悪の事態を考えることを助長するということだ。

では、なぜ私たちはこの言葉をよく目にするのだろうか。その理由はおそらく、実際に何が起きているかを説明するのが非常に難しいときに、便利な言葉として「冷戦」が使われるからだ。実際に起きているのは、深く結びついたテクノロジー環境において、観念的で地政学的な緊張が広がっているということである。

米国とソ連の関係とは違 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る