KADOKAWA Technology Review
×
自動運転時代の地図覇権争い
みんなで作る「ストビュー」
台風の目になるか
Mapillary
カバーストーリー 無料会員限定
Crowd-sourced maps should help driverless cars navigate our cities more safely

自動運転時代の地図覇権争い
みんなで作る「ストビュー」
台風の目になるか

無人運転乗用車が市街を安全に走行するには、従来の道路地図の情報だけでなく、道路沿いの標識や標示などに関する最新の情報が必要だ。スウェーデンのスタートアップ企業は、クラウドソーシングで道路の最新の景観画像を収集し、マシンビジョンを用いて識別することで、鮮度の高いデータ・セットを作成している。自動運転時代の地図覇権争いの台風の目となるか。 by Charlotte Jee2019.02.04

現在利用されている市街地図は、無人運転乗用車の走行にはあまり役立たない。大半の道路は地図化されているものの、数年に1度しか更新されないからだ。それに、一般的な地図には道路標識のような道路沿いのインフラや私道、路面標示などが一切書き込まれていない。こうした追加情報が無くては、自律自動車が都市を安全に走行するのはより一層難しいものになる。ロボット配達も同様で、いずれは道路の表面、歩道、障害物といった精度の高い詳細情報が必要になるだろう。

スウェーデンのスタートアップ企業であるマピラリー(Mapillary)は、その答えを見つけたようだ。マピラリーが開発したのは、人々がスマートフォンで撮影した市街地の画像を利用するクラウドソーシング型のオープンプラットフォーム。地図製作のウィキペディアとも言えるものだ。同社によると、一般に利用可能な市街地レベルの画像データベースとして、現在このプラットフォームは世界最大級だという。

「無人運転乗用車には道路の最新の景観が必要です」とマピラリーのヤン・エリック・ソレムCEO(最高経営責任者)は語る。「無人運転乗用車を走行させるには、もっと高い頻度で地図を更新し、四半期ごと、1カ月に1回、1週間に1回、毎日と、周期を短くしていく必要があります。これをスケーラブルな形で実現するには、テクノロジーを利用する以外にありません」。

地図データを収集する方法は多数あり、この分野におけるスタートアップの間に競争が生まれている。マピラリーによると、同社のプラットフォームが他と違うのはクラウドソーシング型である点だという。グーグルの専有物で更新は数年に1回となっているストリートビューなどとは違うの …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る