KADOKAWA Technology Review
×
光子版「ニュートンのゆりかご」、生命のエネルギー伝達の謎解明へ
Stefan Steinbauer | Unsplash
生命の再定義 Insider Online限定
How a Newton’s cradle for photons could reveal the secrets of photosynthesis

光子版「ニュートンのゆりかご」、生命のエネルギー伝達の謎解明へ

中国の研究チームが、光子を使った量子スケールの「ニュートンのゆりかご」を作成した。このゆりかごは、ノイズを混ぜることでエネルギー伝達効率が向上するという不思議な性質を持っており、光合成や臭いの検出など生命体におけるエネルギー伝達の仕組みを解明するのに役立つと見られている。 by Emerging Technology from the arXiv2019.05.03

エネルギー保存と運動量保存の法則を実演するのによく使用されるのは、一連の球が互いに接するように吊るされた「ニュートンのゆりかご」という装置だ。現在よく見られるような装置はおそらく1960年代に考案され、その後オフィス・トイとして販売されることになった。とはいえ、ニュートンをはじめとする17世紀の学者たちは、すでにその背後にある物理学に精通していた。

エネルギー保存則と運動量保存則は普遍的な法則であり、宇宙論的なスケールでも人間のスケールでも同じように成立する。また、これらの法則は、原子や亜原子粒子のスケールにおいても適用できるが、この場合は奇妙な量子力学の法則の影響を受けることになる。

ここで興味深い疑問が生じる。光子などの亜原子粒子を用いて、量子スケールのニュートンのゆりかごを作ることは可能なのだろうか。

中国の上海交通大学のジェン・フェンと同僚らによる研究により、1つの答えが得られている。ジェンらの物理学者から成る研究チームは、光子を用いてニュートンのゆりかごを作成した。同研究チームによると、この装置に関与する物理現象が、光合成や匂いの検出などの十分に理解されていない自然界のさまざまなエネルギー伝達過程を解明するのに役立つ可能性があるという。

ニュートンのゆりかごは、単純な装置だ。まず、一連の球を接触させて吊るしておき、一方の端の1つの球を引き上げて離す。この最初の球が隣の球に衝突すると、最初の球のエネルギーと運動量が次の球に移動する。すると、2つ目の球もそのエネルギーと運動量を次の球に伝える。このようにエネルギーと運動量が列の中間の球を伝わっていった後、逆側の最後の球が飛んでいく。飛んでいった球が弧を描いて元の位置に戻ると、今度 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35 」の日本版が候補者を募集している。特定の分野や業界だけでなく、世界全体の重要な課題を解決するイノベーターを発信していく。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.4/Summer 2021
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.4/Summer 202110 Breakthrough Technologies

新型コロナウイルス・ワクチンの開発で脚光を浴びた「メッセンジャーRNA」技術から、人間並みの文章を自在に生成できる人工知能(AI)技術「GPT-3」、電気自動車(EV)普及の鍵を握る「次世代バッテリー」まで。MITテクノロジーレビューが選んだ「世界を変える10大テクノロジー」。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る