生命が存在できる惑星は意外に少ない?NASAの研究者が再計算
恒星系におけるハビタブルゾーン(生命居住可能領域)はこれまで、惑星表面に液体の水が存在することと定義されてきた。しかし、複雑な生命体が存在するには、液体の水の存在だけではなく、大気中の二酸化炭素や一酸化炭素の割合も重要となる。NASAの研究者らがこうした考えに基づいて、ハビタブルゾーンを再計算した。 by Emerging Technology from the arXiv2019.02.26
2009年にケプラー宇宙望遠鏡が運用開始されて以来、太陽以外の恒星を公転する惑星が次々に見つかり、天文学界を沸かせている。このデータをもとに、私たちの銀河系には太陽型の恒星やそれより小さな赤色矮星の周囲のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に、約400億の地球に似た惑星が存在すると推定された。
ハビタブルゾーンとは、恒星の周囲の空間において、地表に液体の水を保持する惑星が存在できる領域のことである。地球を見れば分かるように、液体の水は生命の存在に不可欠と考えられている。地球型惑星に生命が発生しやすいのであれば、ケプラーのもたらした数字は、私たちの銀河系が生命で溢れていることを示唆している。となると、誰が最初に生命の証拠を発見できるかということになる。現在、生命が作り出すはずの分光学的特徴を探すべく、宇宙空間に設置するさまざまな望遠鏡が設計されている。
だが、困難な問題がある。それはベストな標的、つまり複雑な生命体が最も誕生しやすい条件を備えた惑星を見つけることだ。宇宙生物学者の間で、生命体が存在するには液体の水だけでは十分でないという指摘が出てきている。地球上での経験から、他の分子の割合も重要だというのだ。例えば二酸化炭素や一酸化炭素が多すぎる惑星では、現在知られているような複雑な生命体は生きられない。
2月25日、カリフォルニア州リバーサイドにある米国航空宇宙局(NASA)宇宙生物学研究所のエドワード・シュウィーターマン博士らのチームは、一酸化炭素と二酸化炭素を考慮して、従来のハビタブルゾーンの定義を書き換えた論文を発表した。計算結果によると、複雑な生命体が存在できるハビタブルゾーンは著しく狭められ、これまで定義されていた大きさの4分の1になったという。「この結果は、太陽系外で生命の痕跡や複雑な生命体を探すうえで、数々の重要な意味を持つことになるでしょう」と、シュウィーターマン博士らは語る。
まず、背景となる知識から説 …
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