未知の惑星「プラネット・ナイン」、10年以内に発見できる可能性
太陽系に未だに知られていない惑星が存在する可能性は、天文学者たちを魅了し続けている。カリフォルニア工科大学の研究者たちは新たな研究に基づいて、過去20年の間に得られた「第9惑星」の証拠を提示し、もし本当に存在するならば、今後10年以内に見つかるだろうと予測している。 by Emerging Technology from the arXiv2019.03.12
太陽系の探査に関して言えば、天文学者たちは恥ずかしい秘密を持っている。400年にわたり天体観測をしてきたにもかかわらず、その間に天文学者たちは、古代の人々が知らなかったであろう大きな天体をわずか2つしか発見していない。1781年に天王星、1846年に海王星だ。
惑星を探す試みをしていなかったたわけではない。観測領域をわずかに外れた場所に未知の惑星が存在する可能性は、蛾を引き寄せる炎のように、天文学者たちを引き付けてきた。成功を収めたのはそのうち数人だ。他の惑星の軌道が未知の質量による重力の影響を受けていることに気付いた複数の天文学者が、海王星を共同で発見した。
海王星だけでは惑星の軌道のずれを完全に説明できないため、未知の惑星の探索は20世紀に入ってからも続き、1930年の冥王星の発見に至った。だが、冥王星はあまりにも小さく、他の惑星の軌道に影響を与える原因にはなり得ないことが判明した。実際、その後、冥王星は惨めにも「準惑星」に降格させられた。
だが、「惑星X」と呼ばれる未知の惑星の探索は、天王星と海王星の軌道の不規則なずれが観測誤差によるものだという赤面の事実に、天文学者たちが気付くまで続けられた。そのことが明らかになったのは、1986年と1987年にボイジャー2号が天王星と海王星に接近した後のことだ。
その他の奇妙な観測結果も、あてのない探求の引き金となった。水星の軌道の特殊な特徴(近日点の移動)が発見されたことで、天文学者たちは、その原因となるような「バルカン(Vulcan)」と名付けた謎の惑星の探索を始めた。だが、水星の近日点移動が太陽の巨大な質量による時空の歪みによるものであることが、アインシュタインの一般相対性理論で示されたことにより、天文学者たちはバルカン探しを断念せざるを得なくなった。
そのような過去にもめげず、天文学者たちは次なる探求につながる情報を再び嗅ぎつけている。今回の探査のターゲットは、「第9惑星(プラネット・ナイン)」と呼ばれる遠い天体だ。米カリフォルニア州パサデナにあるカリフォルニア工科大学のコンスタンティン・バティギン助教授と同僚らが、過去20年の間に得られた第9惑星の存在を示す証拠を提示して、第9惑星の探索を正当化する説得力のある根拠を示し、「第9惑星が存在するのなら、今後10年以内に見つかる可能性が高いでしょう」と述べている。
バティギン助教授らが示す証拠とは、どのようなものなのだろうか。過去20年ほどの間、天文学者たちは海王星軌道 …
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