家庭用ロボットの実用化には「常識」が必要だ——UCB助教授
人工知能(AI)の飛躍的な進歩は大規模なデータ・セットを使った訓練によって実現されてきた。だが、さまざまな状況で活動できるロボットの実用化には、新たなアルゴリズムが必要だという。 by David Rotman2019.03.26
人工知能(AI)はおもに、ラベル付けされた大規模なデータ・セットで機械を訓練することによって、画像認識や音声認識などの分野ですさまじい進歩を遂げている。一方で、現実世界を移動しなければならないロボットは、独特の課題に直面している。結果的にロボットは、依然として工場のような高度に構造化された環境での反復作業をするにとどまっているのだ。
カルフォルニア大学バークレー校のセルゲイ・レビン助教授(電気工学)は、ロボットが家庭や私たちのより幅広い日常生活に入り込むためには、構造化されていない未知の世界を移動するための常識的判断を身につける必要があるという。
サンフランシスコで開かれたMITテクノロジーレビュー主催のカンファレンス「EmTechデジタル」で講演したレビン助教授は、ラベル付けされたデータや人間による監督がなくても、ロボット自身が世界を移動する方法を学ぶことで目覚ましい進歩を遂げた例をいくつも発表した。最近の取り組みでは、深層強化学習と呼ばれるAIの手法を使い、四足ロボットがわずか2時間で「歩く」方法を学んだという。
ロボットが私たちの家の中で暮らすための十分な能力を持つまでにはどれぐらいかかるだろうか? 予測は難しいとレビン助教授はいう。しかし、短期的には、ロボットはさまざまな配送業務や、病院の所でのベッドメイキングのような業務にますます使われていくとレビン助教授は考えている。
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- デビッド ロットマン [David Rotman]米国版 編集主幹
- MIT Technology Review編集者として、多くの時間を費やしてストーリーのタイプや読者に最高の価値があるジャーナリズムについて考えています。好奇心旺盛で博識な読者は、エマージング・テクノロジーについて何を知るべきか? 著者として、私が最近特に関心があるのは、化学、材料科学、エネルギー、製造業と経済の交わりです。