KADOKAWA Technology Review
×
12/16開催『再考ゲーミフィケーションーー「遊び」が変えたビジネス・教育の現在』チケット販売中!
巨大衛星群の打ち上げで
宇宙は早くも大混雑
衝突リスクは回避できるか?
Ms. Tech | Globe: Wikimedia commons
カバーストーリー Insider Online限定
Why satellite mega-constellations are a massive threat to safety in space

巨大衛星群の打ち上げで
宇宙は早くも大混雑
衝突リスクは回避できるか?

先頃のインドによる衛星破壊実験で宇宙ゴミ(デブリ)が増えたことに米航空宇宙局(NASA)の長官は不快感を表明した。しかし今後、衛星の巨大コンステレーションが打ち上げられると地球低軌道の混雑度はますます増し、衝突したり、衝突を避けるための操作がミッションに支障をきたしたりするようになるだろう。 by Mark Harris2019.04.04

3月27日、インドはミサイルで自国の衛星の一つを撃墜したと発表した。だが、米国航空宇宙局(NASA)のジム・ブライデンスタイン長官は感心しなかった。「故意に残骸をまき散らすのは誤った行為です。宇宙を破壊すると、元に戻せなくなります」。

ブライデンスタイン長官は、ますます深刻な問題となっている宇宙ゴミ(デブリ)について言及していたのだ。稼働していない衛星、放置されたロケット、以前の衝突による残骸などが、運用中の衛星や有人の宇宙船、そして国際宇宙ステーション(ISS)にさえ脅威を与えている。

インドの衛星破壊実験で発生したデブリについてはまだ十分なデータが得られていないが、追跡会社が該当エリアをしっかり監視するだろう。ある政府高官がロイター通信に語ったところによると、ペンタゴン(米国防総省)は現時点で250の破片を監視しているという。おそらく撃破により大量の金属の破片がまき散らされただろうが、これは比較的低い高度で起こった。大部分は数カ月以内に地球の大気圏内に落ちてくるだろう。

ブライデンスタイン長官はインドのテストに不快感を表したが、デブリの専門家は現在、もっと深刻な懸念を抱いている。現在提案されている、もっと高い軌道を回る衛星の「巨大コンステレーション」は、はるかに大きな、長期にわたって継続する問題を起こす可能性がある。

今日のデブリの約半分は、2つの出来事から発生している。2007年の中国政府による衛星破壊テストと、2009年の2つの衛星(通信衛星イリジウムとロシア軍事衛星)による衝突事故だ。

しかし、地球低軌道(low Earth orbit:LEO) をはるか混雑させる計画がある。たとえば、衛星通信のスタートアップ企業であるワンウェブ(OneWeb)は、900基の小型衛星を軌道に乗せ、ブロードバンド・インターネット接続が使えない場所に衛星回線を提供する計画だ。一方、スペースXは …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
  2. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #31 MITTR主催「再考ゲーミフィケーション」開催のご案内
  3. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る