KADOKAWA Technology Review
×
「みんなのデータ」で地震速報の精度を向上、アプリやツイート活用
Ms. Tech; Photo: Pixabay
ニュース 無料会員限定
Crowdsourced reports could save lives when the next earthquake hits

「みんなのデータ」で地震速報の精度を向上、アプリやツイート活用

地震への備えは国によって差がある。日本のように早期警報システムが整備されている国ばかりではない。欧州地中海地震学センターの研究者らは、地震観測所の情報を、SNSやスマホアプリで発信される情報と組み合わせることで、地震発生やその位置をより迅速かつ正確に把握できることを示した。 by Charlotte Jee2019.04.16

地震は一刻を争う。地震の発生とその場所を知ることが、建物の内部に留まって下敷きになるか、あるいは外に飛び出して生き延びるかの明暗を分けることもある。この種のタイムリーな情報は、当局による緊急救援部隊にとっても極めて重要となる。

しかしながら、地震の早期警報システムが、地震発生から警報を出すまでに要する時間は国によってさまざまである。日本やカリフォルニア州では、地震センサーと地震観測地点の巨大なネットワークにより、市民に地震に対する警告を早期に発することができる。しかし、このようなネットワークの構築と維持には多額の費用が必要だ。メキシコやインドネシアなどの国は地震多発国でありながら、そのような先進的または大規模なシステムを持っていない。

だが、安価で効果的な方法により、こうした各国間の格差を縮められるかもしれない。クラウドソーシングによる地震の報告を、従来の地震観測地点のデータに組み合わせる方法だ。4月3日付のサイエンス・アドバンス誌にこの取り組みの研究論文が掲載された。

研究では、クラウドソーシングによる地震報告の情報源とした3つを利用した。1つ目は、ヨーロッパ地中海地震学センター(EMSC)が作成したスマホ・アプリである「ラスト・クエイク(LastQuake)」を通じて寄せられる一般の人々からの情報。2つ目は、地震関連のキーワードに言及しているツイート。そして3つ目は、EMSCのWebサイトへの訪問に関連する時間とIPアドレスのデータである。

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  2. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  3. This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
  4. This artificial leaf makes hydrocarbons out of carbon dioxide 人工光合成が次段階へ、新型人工葉が炭化水素合成に成功
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る