迫り来る「気候難民」時代に
どう備えるか?
気候変動は集団移住と紛争を引き起こす。過去のデータに基づく正確な予測は難しいが、よりよい人口移動モデルの作成は、来たるべき事態への備えになるはずだ。 by Susan Cosier2019.07.12
英国の経済学者であるニコラス・スターン教授(LSE:ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)は2006年、気候変動が引き起こす大きな危機の1つは、集団移住だと警告していた。 「気候関係の衝撃的な出来事は、過去に激しい紛争を引き起こしてきました。そして、紛争は西アフリカ、ナイル川流域、中央アジアなどの地域で深刻な危機になっています」。
それから10年以上経ったいまでも、私たちは人々がどこへ、いつ移動するのかを把握するためのモデルを作成しようと試みている。昨年、気候変動による人口移動を初めて大規模にモデル化した世界銀行の報告書では、サハラ砂漠以南のアフリカ地域、南アジア、ラテン・アメリカでは2050年までに1億4300万人もの人々が国内で移住しなければならなくなると推計している。
しかし、私たちはその数字を信用してよいのだろうか? モデルの作成者たちは、人々が以前起きた気候災害時の行動と同様の反応をするのかどうかなど、数多くの仮定を立てている。モデルは改善しているものの、海面の水位がどれだけ上昇するのか、また、干ばつがどれくらい続くのかを予測するためには、多くの未知の要素 …
- 人気の記事ランキング
-
- Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
- Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
- Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
- How to help friends and family dig out of a conspiracy theory black hole 家族が陰謀論にハマったら: 専門家が語る、 5つの現実的アプローチ
- What is the chance your plane will be hit by space debris? 空からゴミが降ってくる—— 衛星10万基時代のリスク、 航空への影響は?【解説】
