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暗号通貨に春の兆し?ブロックチェーン・ウィークで感じた変化
“Blockchain Week” gives us presidential candidates, parties, and signs of crypto spring

暗号通貨に春の兆し?ブロックチェーン・ウィークで感じた変化

ニューヨークで開催された全米最大の暗号通貨の年次イベントは、前回に比べると参加者が半減し、溢れるような活気は失われていた。だが「暗号通貨の冬」を乗り越えた業界には、春の兆しが訪れているようだ。 by Mike Orcutt2019.05.29

暗号通貨をテーマにした米国最大の年次イベントである「ブロックチェーン・ウィーク」が、5月9日にニューヨークで開催された。メインイベントは、コインデスク(CoinDesk)主催の「コンセンサス(Consensus)」と呼ばれるカンファレンスで、5月15日夜に幕を閉じた。イベントが開催されたマンハッタンのミッドタウンには、4000人以上の暗号通貨愛好家と業界のメンバーが集結。非中央集権化を祝福し、ブロックチェーンが金融やビジネスの世界にいかに革命をもたらす可能性があるか夢を語り、今日存在するシステムや商品のどれが10年後にも話題にのぼっているか議論を交わした(おっと、それとニューヨーク・スタイルのパーティもあった)。

カンファレンスの開催期間は、たまたま暗号通貨市場の大きな上げ相場基調と重なった。5月14日と15日にビットコインの価格は、昨年7月以来の高値に接近した(この流れはその後弱まったが、5月26日に昨年7月の高値を更新した)。会場内では、この相場基調は、昨年末以来、暗号通貨業界が耐え忍んできた「暗号通貨の冬」と呼ばれる市場低迷が終わりを告げる合図かもしれないという楽観的な見方が明らかに感じ取れた。だが1年前のコンセンサスで目撃された、洪水のように溢れんばかりの活気はそこにはなかった。

2018年5月には、2017年の暗号通貨マニアたちはまだ疲弊していなかった。ミッドタウンのヒルトンホテルは8000人以上の出席者たちで溢れかえっており、会議場内を動き回る余地すらないように感じることさえあった。参加者の中にはバリバリの「投資家」らしきスーツ姿の人々がはるかに大勢おり、話題はもっぱら新規暗号通貨公開(ICO)についてであった。そして、ホテルの外には 「ランボス(Lambos)」(ランボルギーニの自動車。暗号通貨成金の象徴)が駐車されていた。

今年のコンセンサスは、暗号通貨の冬を反映してか、会話の内容は全体的により落ち着いた、実用的なものとなっていた。トークンの販売についての話は、ずっと少なかった。「観光客がいなくなったからね」。誰かが、昨年の半分しか人が集まっていない理由をこう説明しているのが聞こえた。

もっとも真摯に交わされた議論は、政治や自国通貨が不安定な国の国民に暗号通貨が役に立つという考えは、現実的かどうかについてだった。議論は、政情不安とハイパー・インフレが人道的危機を引き起こしているベネズエラに特に焦点を当てて行なわれた。理屈の上では、その答えはイエスだ。ビットコインは役に立つ。しかし実際には、べネズエラの問題は単に技術的なものではない。そう述べたのは、ベネズエラの人々のお金の使い方を調査している非営利研究団体、オープン・マネー・イニシアチブ(Open Money Initiative)の共同設立者であるジル・カールソンだった。

「私たちは、問題を単純化したいのです。つまり、もし私たちが問題を十分に理解して、私たちのコードが十分にクリーンであれば、解決できると単純化しようとしています。しかし問題は本当に人間的なことなのです」。カールソンはそう言うと、ベネズエラの商人にビットコインとは何なのかについて教え、それが本当のお金のように信頼できると納得させるのがどれほど難しいかを説明した。

そのほか、金融取引におけるプライバシーは普遍的な人権であるかどうかについても議論がなされた(結論はまだ出ていない)。

極めつけには、米国大統領選の候補者までもが登場した。アンドリュー・ヤンは全米でわずか3%の支持しか得ていないにも関わらず、多くの暗号通貨愛好家たちの心を掴んでいる。ヤンはコンセンサスに登壇し、ブロックチェーンに対する熱意が本物であるように演説し、聴衆を沸かせた。さらに、政策立案者に対し、暗号通貨業界の透明性をいっそう高めるか、あるいは、このテクノロジーが有する「膨大な可能性」を逃してしまうリスクを明確にするよう求めた。

ヤンは明らかに暗号通貨オタクたちの票を狙っている。23人の民主党候補者の中で、ヤンだけが暗号通貨政策に関する詳細なスタンスを打ち出しているのがその証拠だ。「規制当局の全体像が一体どうなるのかわからない場合や、自分が取り組んでいることに対し、複数の機関が口を出してきたり出さなかったりという場合には、投資をしたり、イノベーションを図ったりすることが非常に困難です」と語り、州ごとに異なる枠組みはイノベーターにとって「悪夢」となるであろうと付け加えた。明確で一貫性のあるルールが必要だという。「もし、そうしたルールがなければ、ショックなことですが、他の国々がこのテクノロジーで米国よりも先行してしまうことになるでしょう」。

その後のパーティに関して言えば、ヒップホップMCのスヌープ・ドッグは今年は欠席だった。パーティのすべての場面については語れないが、私はある晩、大手暗号通貨取引所のバイナンス(Binance)——そう、あのバイナンスだ——のチャリティ部門とブロック(Bloq)というスタートアップ企業が開いたパーティになんとか潜り込んだ。数人の寄付者がスクリーンに映し出されたQRコードをスキャンして多額の寄付をし、その慈善団体が10分ほどで10万ドルの募金を集めるのを目撃しながら、このブロックチェーンと暗号通貨のメリットについて誰が何と言おうと、あるいは、全体がどこに向かっているかを言おうと、とどのつまりは多額のお金の追求にほかならないことを思い出した。

つまり、もし実際に強気相場が再び続けば、観光客たちが戻ってくるのではないだろうか?過去6カ月の間、暗号通貨の冬は、人々の関心が新しいものへと移っていく、業界にとって実際には良いことなのだという話を何度も耳にしてきた。テクノロジーの開発や利用によって世界を変えることに真剣に取り組んでいなかった人々を、暗号通貨の冬が排除したような感じである。その理屈からすると、私には疑問が残る。「暗号通貨の春」が到来しているなら、それは業界にとって悪いことではないだろうか? ブロックチェーン・ウィーク 2020が開催されるころまでには、おそらく答えが出ているだろう。

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マイク オルカット [Mike Orcutt]米国版 准編集者
暗号通貨とブロックチェーンを担当するMITテクノロジーレビューの准編集者です。週2回発行しているブロックチェーンに関する電子メール・ニュースレター「Chain Letter」を含め、「なぜブロックチェーン・テクノロジーが重要なのか? 」という疑問を中心に報道しています。
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