米大統領選の争点に急浮上、民主党候補の気候変動対策を比較する
前回の米国大統領選挙ではほとんど話題にならなかった気候問題が、2020年の大統領予備選では重要な争点の1つなった。現時点での有力な民主党候補者の主な主張を比較する。 by James Temple2019.06.26
数週間前、民主党の大統領候補を争っているジョー・バイデン元副大統領の陣営が「中立的」気候変動政策を作成しているとロイター通信が報じた。トランプ政権以前の米国が掲げていた温室効果ガスの排出を引き下げるという計画に、多かれ少なかれ立ち返るというものだった。
だがバイデン元副大統領が6月4日に明らかにした計画は、オバマ大統領−バイデン副大統領時代の気候政策を大きく超え、今後数十年間で温室効果ガスの排出を完全に無くすことを目標とするものだ。
この方向転換は「中立的」という観測気球が市民から大きな批判を浴びたことを受けてのことだ。民主党大統領候補の座を狙うすべての候補者にとって、気候変動への対応の重要性がいかに高まっているかを示す最新の兆候と言える。
気候変動がほとんど議論のテーマに挙がらなかった前回の大統領選挙とは、紛れもなく風向きが変わっている。直近の世論調査では、民主党寄りの有権者にとって気候問題が「非常に重要」なことだと明らかになっており、2016年の大統領選挙と比べて気候問題への関心は著しく上昇している。
観測筋は、環境問題への懸念の高まりには複数の要因があると見ている。具体的にはトランプ政権の政策に対する反発、若者を中心とする気候問題への抗議運動の成功、グリーン・ニューディールへの注目、昨年の山火事や酷暑といった出来事にいかに対する気候変動の影響を与えているかといった認識の高まり、国連の気候変動に関する政府間パネル(UN IPCC)による最近の発表で、2030年までに世界の平均気温が1.5℃以上上昇すると結論付けられたことなどが挙げられる。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のリア・ストークス助教授(環境エネルギー政策)は、気候変動は抽象的で遠い未来の話ではなく、間近に迫る直接的な脅威になりつつあると指摘する。
「他人の問題でも、未来の問題でもありません。気候変動は、今ここにいる私たちに影響を与えるのです」。
バイデン計画
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