KADOKAWA Technology Review
×
The NSA Spied on Cell Phones on Airplanes in Mid-Flight

NSAなどの諜報機関が機内の電話も傍受していたことが判明

高度約9kmでも、諜報機関は通話内容を監視している。 by Jamie Condliffe2016.12.09

壁に耳あり。高度約9kmでも。

インターセプトとフランスの新聞ル・モンドによる調査により、英国と米国の諜報機関は、2005年以降のフライトで搭乗中の乗客の携帯電話を追跡するために人工衛星システムを使っていたことが明らかになった。

現在は多くの航空会社がフライト中の通話とデータ通信サービスを提供している。しかし、航空機のモバイル接続を可能にするGSMシステムが機体に装備されたのは2000年代半ばだ。

当時、厳密には機内での通話は乗客に許されていなかったが、フライト中の携帯電話の使用が飛行機の航行や管制にいわれるほど影響はないと気付く人が増えていった。携帯電話の電波が届き、料金が妥当なら、電話をかけない理由はない。

諜報機関もこのことは知っていた。英国の情報機関である政府通信本部(GCHQ)と米国国家情報局(NSA)は、上空で電話をかける人にも関心を向けるようになった。報道各社に伝えたNSAの文書によれば、2009年2月までに、フライト中に携帯電話を使った10万人のデータを記録していたという。

GCHQとNSAは、航空機と人工衛星間で交わされる電波を地上の設備で傍受していたようだ。インターセプトは「純然たる事実として、携帯電話の電源が入っているだけで位置情報は漏れる」と前置きしている。しかし諜報機関は、ユーザーによる通話やテキストメッセージ、データ送信の中味まで詳細な記録が取れるのだ。

どの航空会社でも携帯で接続できるようなった現在、機内での通話の監視は恒常化している可能性が高い。実際、NSAの記録には近年の通話のタイムスタンプや日付が残っている。次回、上空で電話をかけたくなったら、代わりに映画でも見ておくべきかもしれない。

(関連記事:The Intercept, “Ultraprivate Smartphones,” “Can Cell Phones on Planes Be Dangerous?”)

人気の記事ランキング
  1. The three big unanswered questions about Sora 時間も資金も溶かす? AI動画SNS「Sora」3つの疑問
  2. EV tax credits are dead in the US. Now what? 米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
タグ
クレジット Photograph by Paul J. Richards | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る