KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
カバーストーリー Insider Online限定
Ghana’s Last Mile

ガーナで始まった
eコマースブームには、
アフリカ特有の問題が山積

ティス(Tisu)は、アフリカ大陸で増加する中産階級に人気商品を提供する革新的なネット小売りだ。しかし、住居表示や道路が未整備のため、配達時は経路をその都度開拓する必要がある。 by Jonathan W. Rosen2016.12.27

ガーナの首都、アクラで午後の配達がピークを迎えるころ、マイケル・アションはだんだんイライラしてくる。現地のネット小売りティス(Tisu)の配送ドライバーであるアションは、街中に靴やスマホなどの商品を配達しており、ほぼ毎日、黒いヒュンダイ製ハッチバック内で一日を過ごす。いまは、取材中の私も同乗している。最後の配達になって、アションは荷物を届けられそうにないと気付いた。アクラのほとんどのドライバーと同じように、アションはランドマークを頼りに配達先に向かう。アクラのほとんどの通りは名前がついているが、ほとんどの建物には番地の表示がなく、地元民が正規の住所を使うことは滅多にない。アションの最後の顧客は、郊外にある看護学校の生徒で、電話ごしに叫んだ場所からアションを誘導できずにいた。学校と提携する病院の正門前に廃屋が立ち並び、「サツマイモ売り場」として使われている場所から先、どこに行けばいいのかわからない。アションは通行人を呼び止め、電話で顧客と話をしてもらったが、さらに別の道に迷い込んだだけだった。周囲を30分ぐるぐるさまよい、アションと顧客は別の場所で待ち合わせ、顧客が到着したら荷物の代金を払うことでようやく合意をした。結局、49ガーナセディ($12)の「Moon Love」ネックレスを届けるために、約2時間の往復時間がかかってしまった。

「配達のためにいろいろなことをしないといけないんです」とアションは街の中心部で、ティスの物流センターとオフィスがある西レゴンに戻る車で、熱帯の暑さの中、窓を開けていった。「少なくとも客は電話には出ました。目的地についても電話に出ない場合もありますが、荷物を届けるために、だいたい3回は電話で連絡して移動しなければいけないんです」

穏やかに話す28才のアションは、整備工として訓練を受け、タクシー・ドライバーを経て、ティスで働くようになり、現在は世界中のメーカーを起点にするサプライチェーンの最後の段階で、物流センターから顧客に荷物を届けるラストワンマイル(約1.6km)を担っている。海と陸を横断し、ようやくアクラで事業を営むティスの倉庫に到着する。販売数の多い商品は在庫を抱えているが、それ以外は顧客の注文ごとに商品を仕入れる。最終的にすべての商品の配達は会社が直接雇用するドライバー5人のうちの1人に割り当てられる。

ガーナでは、現在でもインターネットでの買い物は珍しい。アフリカの多くの国の状況も同じだ。アフリカの小売り販売でオンライン取引は1%未満だが、長年続く力強い経済成長により、アフリカ大陸各地の購買力は、アフリカの限られた従来型小売店の供給力よりも、西洋の消費財に対する需要を急激に高めた。特に、多くの都市が抱える交通渋滞のせいでショッピングセンターへ行けないのが理由だ。一方、スマホと高速インターネット接続はますます普及している。つまり、アフリカのeコマースは …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る