KADOKAWA Technology Review
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特別寄稿:世界大恐慌に学ぶ、巨大テック企業の「扱い方」
Sophy Hollington
倫理/政策 Insider Online限定
What the 1930s can teach us about dealing with Big Tech today

特別寄稿:世界大恐慌に学ぶ、巨大テック企業の「扱い方」

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、巨大テック企業への批判は一時の勢いを失った。しかし、経済活動が回復する際には、働き手やユーザーの権利をテック企業からいかに保護するかが重要となり、それには世界大恐慌が起こった1930年代の政策が参考になる。 by Nathan Schneider2020.06.23

「テックラッシュ(巨大テック企業に反発すること)」は、終わったと報じられている。

シリコンバレーの地方新聞であるサンノゼ・マーキュリー・ニュース(The Mercury News)の4月の論説「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への反応は、巨大テック企業へのバッシングのすべてを終わらせる」は、そのことを最も端的に表現している。米国のシンクタンクであるブルッキングス研究所(Brookings Institution)が4月下旬に発表した論説も、その新たな一般常識を繰り返したものだった。いわく、「テック産業の市場支配力、プライバシー慣行、コンテンツ・モデレーション・ポリシーについての懸念はすべて、ほんの数カ月前まで大きな課題となっていたが、もはや同じような社会的重要性は持たない」。

これらの記事は、新型コロナウイルス感染症の登場によって、「私たちは心配するのを止めてシリコンバレーを愛するようになった」と主張する。つまり、自宅隔離の期間中でも通信できることや、接触者追跡に適用できる監視を、ただ素直に受け入れることを学んだというわけである。

だが、人々がよりどっぷりと、より親密な形でテクロジー経済に依存していることに気づくにつれ、新たな心配の種も見つかり始めている。

アマゾンの副社長の1人は5月、職場における新型コロナウイルス感染症の安全性対策を改善する目的で組合を作ろうとして解雇された労働者を支持して退任した。インスタカート(Instacart)、ターゲット(Target)、ウォルマートなどの企業に勤める低賃金労働者も、同様の理由でストを決行した。エアビーアンドビー(Airbnb)のホストは、プラットフォームが予約をキャンセルした顧客に全額を払い戻し、収入をゼロにしたことに不満を抱き、抗議の声を上げている。

危機の中で、新たなテクノロジーがすぐに簡単な答えを提供してくれそうに思えるとき、巨大テック企業の増大する力に対して、想像力に富んだ対応を考え出すのは難しいと感じるかもしれない。しかし、たとえテック・プラットフォームがあまりにも多くを好き放題にできるということが非常に明確だとしても、テクノロジーの最も深刻な問題のいくつかを解決するツールは、思っているよりも手の届くところにある。

インターネット上の企業は、従来の電話会社や郵便配達人が決してできなかった方法で、人々の行動データを集めることができる。電話会社は人々の電話でのやり取りを聞き、それに関するロボコールをかけることはできない。配車アプリは、タクシー業界の競合他社が従わなければならない規制をある程度回避することで始まった。ギグエコノミーのプラットフォームは、パートタイムのフリーランスの仕事を提供しているのを理由にして、先人たちが苦労して獲得した労働者の保護を無視できる権利を日常的に主張している。しかし、多くの場合、フリーランスの仕事にも、通常雇用と同等の働き手に対する管理のようなものが含まれている。

これまで一部の場所では、古いルールは新しいテ …

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