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主張:「D7」創設で民主国家主導のデジタル規制議論を
Ms Tech | Getty
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How democracies can claim back power in the digital world

主張:「D7」創設で民主国家主導のデジタル規制議論を

大手テック企業はソーシャルメディア・プラットフォームやデータセンター、スマートフォンといった、世界中の市民の日常生活に欠かせないインフラを支配している。スタンフォード大学サイバー政策センターの国際政策責任者である筆者は、民主主義国家が「D7」のような世界的な協力体制を構築し、デジタル時代に合った規制や基準を導入するべきだと主張する。 by Marietje Schaake2020.11.04

ツイッターは、米国大統領がツイートした嘘を検閲するべきだろうか? ユーチューブは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する誤った情報を削除するべきだろうか? フェイスブックは、ヘイトスピーチに対してもっと対策をとるべきだろうか? このような疑問が、日々メディアで報道されている。科学技術の発展・発達がもたらす民主主義への主なリスクは、ソーシャルメディアを運営する企業によるコンテンツのキュレーション、つまりコンテンツの収集・整理・要約・公開のように感じるかもしれない。だが、その論争は、もっと大きな脅威の単なる兆候に過ぎない。脅威とは、デジタル世界における民営化された権力の深刻さだ。

世界の民主主義国家は、同様の課題に直面している。しかし、課題は一国で解決できるものではない。テック企業に対する規範や規則、指針を定め、選挙妨害やサイバー戦争、オンライン取引を含む国境を越えるデジタル活動のプロトコルについて合意する、全世界の民主的な協力関係が必要だ。一握りの企業経営者ではなく複数の政府の連合体がガバナンスの条件を定義し、チェック・バランス・監督する仕組みを整えることが、市民をよりよく代表することにつながるのだ。

テック企業が大した規制もなく我々の生活を支配する方法は、たくさんある。決定的に重要なインフラを構築しそれを維持することや、攻撃用サイバー・ツールを作り出すことから、人工知能(AI)システムや政府のデータベースの設計にいたるまでのさまざまな分野において、ビジネスの利益のために下したテック企業の決定が、何十億もの人々にとっての規範と基準となる。

テック企業はますます、国家の役割を引き継いだり、基本的権利に影響を与える製品を開発したりしている。例えば、開発され活用されるまで適切に規制されなかった顔認識システムは、今では人々からプライバシーを奪い取るほど広く使われている。同様にテック企業は、多くの場合同意なしに個人データを組織的に掻き集めており、規制当局の対処が遅れている業界規範の1つとなっている。

テクノロジーは法律よりも進化が早いことから、民間機関と公的な監督との間の矛盾が拡大している。例えば「スマートシティ」企業だ。スマートシティは、地方自治体がリアルタイムでクルマを監視し、信号のタイミングを調整することで渋滞を緩和できる、と約束している。建設企業が造った道路のようなものと異なり、こうしたデジタル・インフラは必ずしも公共物ではない。スマートシティを構築するテック企業は、公共に還元されない可能性がある洞察と価値を手に入れることになる。

公私間の不均衡は、制御不能なほど急拡大している。情報格差、才能格差、コンピューター利用格差が合わさって、権力と説明責任に対する公的機関と民間機関の大きな隔たりとなっている。このように積み重ねられた我々の日常生活を制御するすべてが、民主的な正当性がなく、ほぼ監視されることなく存在している。

なぜ注意を払うべきなのか?  デジタル・システムに関してテック企業が下す決定が、選択の自由や公平な競争、無差別、正義、そして説明責任といった民主主義では不可欠な本質的な原則を遵守しないかもしれないからだ。科学技術の発達によるプロセスや間違った決断、あるいはビジネス主導の設計による意図しない結果によって、公共の安全と国家安全保障に対する深刻なリスクが生み出される可能性がある。そして、組織的な検査や合意の対象とならない権力は、民主主義のほとんどの基本原則と対立する。

テクノロジーの規制は今日、中国とロシアにおける国家主導の仕組みと、米国における市場主導の仕組み、そして欧州における価値観に基づくビジョンという三者間の争いと見なされることが多い。しかし、現実には、テクノロジー・ガバナンスの有力な仕組みは2つしかない。つまり、先に述べた民間企業による民主主義世界全体に適用されるものと、国家主導の権威主義的なものだ。

民主主義政府の自由放任の手法と自国の民間企業の規制に消極的な態度は、国際的な舞台でも展開している。民主主義政府は主に企業による管理運営を許してきた一方で、権威主義政府は国際的な集まりの場を通じた規範の形成を訴えてきた。民主主義政府が国際協調を選択しないという不幸な変化は、インドやトルコ、ブラジルといった民主主義大国が権威主義的な姿勢を強めたように、世界中で見られる民主主義が衰退していく傾向と重なっている。民主主義政府がテクノロジー分野での主体性を取り戻すための慎重かつ早急な取 …

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