KADOKAWA Technology Review
×
主張:今こそAI倫理に仏教の思想を取り入れよう
Ms Tech | Unsplash
知性を宿す機械 無料会員限定
What Buddhism can do for AI ethics

主張:今こそAI倫理に仏教の思想を取り入れよう

社会におけるAIの影響力が強まるにつれて、AIを開発・運用する際の倫理的なガイドラインを策定する必要性が高まっている。これまでにいくつかのAI倫理ガイドラインが発表されているが、そのほとんどは、西欧の価値基準に基づいたものだ。 by Soraj Hongladarom2021.01.13

人工知能(AI)が爆発的に発展し、人々は、AIが世界の最も困難な問題の多くを解決する助けになるのではないかと期待するようになった。しかし、AIの力については多大な懸念もあり、AIを使用することで人々の権利が侵害されないようにガイドラインを定めるべきだという見解がますます広がりつつある。

これまでに多くのグループが、AIをどのように開発して運用すべきかという倫理ガイドラインについて議論し、提案してきた。工学分野の世界的な専門家組織であるIEEE(アイ・トリプル・イー)は、このテーマで280ページに及ぶ資料を発行しており(私も寄稿した)、欧州連合は独自の枠組みを発表した。「AI倫理ガイドライン・グローバル・インベントリー(世界目録)」は、世界中から160以上のそうしたガイドラインを収集したものである。

残念なことに、こうしたガイドラインのほとんどは主に北米やヨーロッパに集中するグループや団体が作ったものだ。社会科学者のアンナ・ジョバン博士と同僚が発表した調査によれば、米国が21件、欧州連合が19件、英国が13件、日本が4件、アラブ首長国連邦、インド、シンガポール、韓国がそれぞれ1件となっている。

ガイドラインには、それを定めた人々の価値観が反映されている。そして、AI倫理についてのガイドラインのほとんどが西欧諸国で書かれている。つまり、AI倫理は、自主性の尊重や個人の権利といった西欧の価値基準に支配されていることになる。他の国々で発行されている数少ないガイドラインも、ほとんどが西欧のガイドラインを参考にしているのでなおさらだ。

ある種の価値観は確かに普遍的であるため、異なる国で書かれたガイドラインが似通っている可能性はあるだろう。しかし、ガイドラインに非西洋諸国の人々の観点を真に反映させるには、それぞれの文化で見られる伝統的な価値体系もガイドラインに反映させる必要がある。

東洋と西洋の人々は、考えを共有し、他方の考え方を熟考するこ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る