KADOKAWA Technology Review
×
暗号化データの捜査利用と
安全保障はどちらが大事か?
カバーストーリー 無料会員限定
The Next Big Encryption Fight

暗号化データの捜査利用と
安全保障はどちらが大事か?

暗号化データのアクセス権を捜査機関に認めれば、敵対国の諜報機関もデータを利用できる可能性があり、犯罪捜査のために安全保障を損ないかねない。 by Mike Orcutt2017.02.07

テック企業にユーザーの暗号化データを開示させるために、米国政府はどの程度の権限を持つべきだろうか? 昨年、アップルと米国連邦捜査局(FBI)が繰り広げたドラマチックな争いは、法廷で明確な答えが出る前に立ち消えになった。しかし、近い将来、この問題はワシントンで多くの議論を招く形で間違いなく再燃する。次の論争では何がおきるだろうか?

捜査当局者は、問題は未解決のままだという。暗号の利用は拡大しており、アップルのiOS等、提供者側ですら暗号データにアクセスできない製品が登場し、警察の捜査が不当に妨げられている、ともいえる。

米国政府は昨年、サンベルナルディーノ銃撃事件の犯人が所有していた iPhoneの暗号化データの提供をアップルに要求した。同様に、捜査官が暗号化された機器にアクセスできるようにアップルに協力させようと、再びアップルと法廷で直接対決する決断を下すかもしれない。もしFBIが前回の争いを蒸し返したくなければ、iOSとは別の形態の暗号を使う暗号化メッセージやメールサービス 、アプリ等を議論の対象にするかもしれない。

エンド・トゥ・エンド暗号化(WhatsAppやiMessage、Signal等に使われている暗号化方式、E2EE)では、サービス事業者がメッセージ内容にアクセスできる従来のメールやチャットとは異なり、サービス事業者はユーザーのメッセージを読んだり、転送したりできない。しかし、電子フロンティア財団の所属のアンドリュー・クロッカー弁護士は、捜査官がiPhoneに保存 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る