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主張:プライバシーは「個人の問題」ではない、集団的保護を
Franziska Barczyk
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Collective data rights can stop big tech from obliterating privacy

主張:プライバシーは「個人の問題」ではない、集団的保護を

人々のネット上の活動に関するデータを企業が収集することによって受ける被害は、個人単位では比較的小さくても、集団として見ると大きなものになる可能性がある。個人のデータを保護するだけなく、集団として受ける被害を未然に防ぐすべきだ。 by Martin Tisne2021.06.04

ネットワークでつながった世界に関わる人は誰でも、自覚の有無にかかわらず、止めどなく流れるデータの川を常に作り出している。企業は、そのデータを利用したがっている。

例えば、ワイヤード(Wired)によると、ナンバーエイト(NumberEight)というスタートアップ企業は、「スマホのセンサーから得られるデータに基づいて、アプリがユーザーの活動を推測できるようにしている。ユーザーが走っていても座っていても、公園の近くにいても美術館の近くにいても、車を運転していても電車に乗っていても、その活動を推測するのだ」という。このようなテクノロジーを利用した新しいサービスは、「アプリ上でのユーザーの行動に関する情報と、その時にユーザーが実際に何をしているかという情報を組み合わせるようになるだろう」。そうした情報があれば、「例えば、35歳以上の女性をターゲットとするためのプロファイルを作成する代わりに、『早起きの人』をターゲットとした広告を配信できるようになるかもしれない」。

企業によるこうした目論見は広く浸透している。ハーバード・ビジネス・レビューの最近の記事によると、「ほとんどのCEO(最高経営責任者)は、人工知能(AI)が組織のあり方を完全に変えてしまう可能性があることを認識している。例えば、顧客が要求する前に、小売業者が、おそらく製品を作ったその日のうちに、顧客に合わせた個別の製品を届けるような未来を思い描いているのだ」。そして、企業がより多くの領域でAIを使用するようになるにつれて、「企業のAI能力は急速に向上し、思い描いていた未来が、かつて予想したよりも近づいていることに気づくだろう」と予測している。

そのような未来では言うまでもないが、今日でも、テクノロジーはプライバシーを完全に葬り去ってしまう可能性がある。それを防ぐための法律や政策を考えることは、政府の極めて重要な仕事の一つだ。バイデン政権と議会が国としてプライバシー法の制定を検討する際には、よくある間違った考えに陥ってはならない。人々のデータのプライバシーを保護する法律は、個人を守るためだけのものではない。集団の一員、つまり社会全体の一員としての私たちの権利を守るためのものでもあるのだ。

プライバシー権の侵害によって集団内のある個人が受ける被害は比較的小さく、特定するのは難しいかもしれないが、集団全体として受ける被害は甚大なものになり得る。例えば、アマゾンが消費者の行動に関するデータを利用して、どの商品を模倣する価値があるかを把握し、靴やカメラバッグなどの商品を販売しているメーカーの利益を低下させたとする。すぐに被害を受けるのは靴メーカーやカメラバッグメーカーだが、長期的に、そして最終的に永続的な被害を受けるのは消費者だ。長い目で見れば、消費者は真にオープンで公平な市場での取引から得られる選択肢を奪われることになるからだ。また、靴メーカーやカメラバッグメーカーであれば法的措置を取ることができるが、消費者がアマゾンの行為によってどのような被害を受けているかを証明することはずっと難しい。

これは理解しにくい概念かもしれない。集団訴訟は、このことを考える上で良い例となる。一人ひとりはわずかな被害しか受けていないとしても、多くの人々が一緒になって訴訟を起こすというものだ。大手テック企業は、集団データを分析することで得られる商業的利益を把握している。一方で、個人のデータに関しては、差分プライバシーのような数学的手法によって表面的に保護している。しかし、規制当局は、個人の保護、あるいはせいぜい特定の性別、年齢、民族、性的指向などの保護対象層を守ることばかりに焦点を当て続けている。

アルゴリズムがこれらの保護対象層に該当しない集団に人々を振り分けて差別する場合、米国では反差別法は適用されない(機械学習モデルがユーザーを選別するためにフェイスブックが使用しているようなプロファイリングの手法は、欧州連合(EU)のデータ保護法ではおそらく違法となるが、これまでのところ訴訟になったことはない)。 多くの人は、自分の情報が分析されたり、差別されたりしたことを知ることさえないので、法的措置を取るのは難しい。これまで訴訟を起こすための前提条件とされてきた不公平さや不当さを、もはや直接感じることはないのだ。

個人が自分のデータ・プライバシー権のために争ったり、自分のデジタルでの行動のあらゆる結果に対して責任を負ったりする必要があってはならない。次の例を考えてみよう。人々は安全な水を飲む権利を持っているが、その権利を行使するために、水道の蛇口から水を飲むたびにピペットで水質をチェックすることは求められていない。その代わりに、規制機関がすべての人のために行動し、私たちが口にするすべての水が安全であることを確実にする。デジタルプライバシーに関しても同様でなくてはならない。一般のユーザーが個人的に保護できるものではな …

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