KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
富裕国で進むブースター接種、専門家が語る倫理的問題点
AP
生物工学/医療 無料会員限定
The pandemic problems that boosters won’t solve

富裕国で進むブースター接種、専門家が語る倫理的問題点

3回目のワクチン接種(ブースター・ショット)の実施へ向けた準備が一部の国で進む中、いまだに1回目の接種すらままならない国も多い。 by Lindsay Muscato2021.09.29

米国疾病予防管理センター(CDC)が広い年齢層の米国民への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの追加接種を支持したのを受け、米国のブースター(追加接種)プログラムが始動しようとしている。

CDCは現在、65歳以上の人、長期治療を受けている成人、50歳以上の基礎疾患のある人を対象に、3回目のファイザー/バイオンテック(BioNTech)製ワクチンの接種を受けるよう勧めている(最初にジョンソン・エンド・ジョンソン製またはモデルナ(Moderna)製を接種した人はもう少し待たなければならないだろう)。CDCの所長を務めるロシェル・ワレンスキー博士が諮問委員会の決定を覆したため、最前線で働く労働者、感染リスクが高い人もブースター接種を受けられるようになる。

しかし、ワクチン接種は今もなお重症化や入院を防ぐのに大きな効果があることから、この決定は物議を醸している。多くの専門家は、米国内のワクチン未接種者の接種を増やすことや、人口の2%余りしか接種しておらず、ワクチンを切望している低所得国にワクチンを送ることを優先すべきだと考えている。

9月初旬、世界保健機関(WHO)は、少なくともすべての国の人口の10%がワクチンを接種するまで、ブースター接種を延期するよう求めた。しかし、英国、フランス、イスラエル、そして今回の米国などの富裕国は、おかまいなくブースター・プログラムを着々と進めている。

ブースター接種を巡る緊張をはらんだ議論は、公衆衛生の当局者、政治家、生命倫理学者に複雑な倫理的問題を提起している。世界の大部分の人が1回目の接種を待っている時に、より豊かな国の国民が3回目の接種を受けるのは正当なことなのか?  また、CDCなどの機関は、誰がブースター接種を受けるべきかを、どのように決定するのか?

MITテクノロジーレビューは、生命倫理学と保健医療研究を専門とするアニタ・ホー准教授(ブリティッシュコロンビア大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校)に話を聞くことにした。ホー准教授は、以前、米国のワクチン接種の開始と不平等について話してくれた研究者だ。いまだパンデミックが収束しない中、状況はどのようにように変わったのか。ホー准教授に尋ねた。

なお、以下のインタビューは、発言の趣旨を明確にし、長さを調整するため、編集されている。

——一部の米国人へのブースター接種における、倫理的配慮とは何でしょうか? 特に、感染リスクの高い仕事をしている人にブースター接種を提供する、という考え方について教えてください。

ある意味で、倫理的配慮はワクチンが最 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it. すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
  2. OpenAI’s “compromise” with the Pentagon is what Anthropic feared アンソロピック排除の裏で進んだオープンAIの軍事契約、その代償は
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る