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出会い系アプリはもううんざり、「運命の人」探す新ネット文化
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Forget dating apps: Here's how the net's newest matchmakers help you find love

出会い系アプリはもううんざり、「運命の人」探す新ネット文化

交際相手を見つける手段としてスマホの出会い系アプリはもはや一般的になった。だが、それに飽きた人たちは、ツイッターやティックトック、メルマガなどの新たな場で「運命の人」を見つける方法を模索している。 by Tanya Basu2021.10.31

キャサリン・D.モーガンは、出会い系アプリにうんざりしていた。「ティンダー(Tinder)」や「バンブル(Bumble)」などのサービスを使っていたが、彼女にはあまり意味がなかった。「多くの友人がどうやって成功したかを話していましたが、私は『ほかの方法はないかな』と感じていました」。

そこで、モーガンは自分で何とかしてみようと試みた。今年7月、自身のツイッターにスレッドを立て、自分の写真や興味があること、どんな人を探しているのか? といった情報を書き込むように呼び掛けたのだ。

https://twitter.com/blktinabelcher/status/1420590943720198147

スレッドは人気が出始めた。「私は恋が好き!」と言うモーガンは、人々が相手を見つけ合う様子を見て幸福感に浸り、彼女が陰から導いた現実の人と人の関係に満足した。モーガンの郷里であるオレゴン州ポートランドでの複数のカップルが成立したり、スレッドを見てニューヨークまで飛行機で会いに行こうと考える人もいた。短期間で終わった関係もあった。現在もスレッドの書き込みは増え、米国中で恋人を探す人たちが集まっている。

こんな話を聞くと、昔ながらのお見合いのように感じるかもしれない。実際、その通りだ。ただ、おしゃべりな近所のおばあさんがお膳立てするお見合いとはかけ離れている。モーガンのような活動はツイッターやティックトック(TikTok)などのプラットフォームで突然発生することが多く、理想に合った求婚者のリストが数限りなく現れる出会い系アプリとは違って、一度に1人に集中するのが特徴だ。

メールで楽しむ

ランダ・サカラは、自らの憂鬱感を解決するため、2020年12月に「ホット・シングルス(Hot Singles)」を立ち上げた。当時、サカラはテクノロジー関係の仕事をするため、ニューヨークに引っ越したばかり。「スワイプ操作には飽き飽き」していた。そこで、「サブスタック(Substack)」というプラットフォームを使い、一見するとシンプルなメールマガジンを作った。グーグル・フォームで候補者を募集し、採用されると、その人のプロフィールが何千人ものメルマガ読者に送られるというものだ。

それぞれのプロフィールには、名前、性的指向、興味、何枚かの写真など必要な情報が載る。しかし、重要なのは、サカラが取り上げる人との質問やメールでの編集上のやりとりから、その人ならではの個性が現れることだ。たとえば、「今週の独身者」は、動物だとすればどんな動物かと尋ねられる。答えは、クジャクとラッコの中間だという。「人生の主な目標は、おやつを食べ、手を握り合い、場合によっては少しだけ子どものように遊ぶこと」だとこの独身女性は書いている。

ホット・シングルスの魅力の1つは、たった1人のプロフィールが金曜日にメールで配信されることだとサカラは話す。要求に応じて次々に好みに合いそうな顔が用意されるのではない。1人の人をアルゴリズムによって提示された統計データとしてではなく、人間として知るのを存分に楽しめる …

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