KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中
New Weather App Can Spread Urgent Alerts Even When Cell Networks Are Down

携帯電話網未接続でも緊急警報を受信できるアプリをIBMが開発

IBMは、携帯電話網につながっていなくても、Wi-FiやBluetooth機能でデータを拡散させるメッシュ・ネットワークアプリを発展途上国向け格安スマホに標準搭載させた。 by Tom Simonite2017.02.16

格安スマホは、最近、インドやインドネシアといった発展途上国で急速に普及している。IBMは、携帯電話網の混雑時や切断時でも、天気や自然災害に関する緊急警報が拡散されるシステムを格安スマホに搭載する方法を開発したという。

携帯電話網を経由せずに緊急警報を拡散するテクノロジーは、ウェザー・カンパニー(IBMが2016年に買収)が2月15日に発表した新型アプリ(発展途上国向けのアンドロイド端末用)に採用されている。アプリを使うと、携帯電話網に接続していなくても、ブルートゥースやWi-Fiで暴風や洪水、津波等の災害に関する警報をスマホで受信できる。警報は、端末同士の複数のリンクを横断して発信されるため、遠くまで届く。

アプリに使われた手法「メッシュ・ネットワーク」の開発に関わったIBMトーマス・J・ワトソン研究所(ニューヨーク州ヨークタウン)のニルミト・デサイ研究員は「データが到達する範囲を拡大して、必要な時に常にデータが届くようにしたいのです」という。

ウェザー・カンパニーは、今月末にインドのアプリユーザー向けに、メッシュ・ネットワーク機能を稼働させるつもりだ。インドでの稼働後、ウェザー・カンパニーは発展途上国市場向け格安アンドロイド用アプリが利用できる、アジアやアフリカ、ラテン・アメリカの41カ国でも、徐々にメッシュ・ネットワーク機能を稼働させる計画だ。

企業や学術機関、軍でも、デジタル通信の障害回復機能を高める手段として、メッシュ・ネットワークの研究が長年進められてきた。スマホ普及率の向上により、インターネットがなくても通信網の接続状態を拡大できる可能性が開かれたのだ。

たとえば、政府による携帯電話網の封鎖を恐れた香港のデモ参加者は、チャットアプリ「ファイア・チャット」を使った。またネバダ州の砂漠で開催される奇祭「バーニングマン」でも、ファイア・チャットは評判だ(“Messaging App Weaves Smartphones Into an Alternative Internet”参照)。

メッシュ・ネットワークによるテクノロジーが期待通り稼働すれば、ウェザー・カンパニーの先進性とIBMの資本力により、このプロジェクトは、他社の消費者向けメッシュ・ネットワーク・プロジェクトよりも著しく成長する可能性がある。

フリンダース大学(オーストラリア)のポール・ガードナー=ステファン准教授は、ウェザー・カンパニーがメッシュ・ネットワークを普及させれば、グーグルはこの手法と互換性のあるスマホを開発せざるを得なくなる、という。ガードナー=ステファン准教授は、、携帯電話網がない地域用のメッシュ・ネットワーク・テクノロジーを開発するサーバル・プロジェクトを率いている。

アンドロイドOSは世界中(特に貧しい地域)のスマホで使われているソフトウェアだが、メッシュ・ネットワーク機能は用意されていない。ソフト開発者がメッシュ・ネットワークを実装するには、精緻な手法を駆使する必要があり、できることは限られている、とガードナー=ステファン准教授はいう。「もしグーグルがソフトウェアの開発を積極的に支援してくれれば、面白いことをしたり、メッシュ・ネットワークのテクノロジーで人々を支援したりするのがもっと簡単になるでしょう」

人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #28 「自動運転2.0  生成AIで実現する次世代自律車両」開催のご案内
  2. 10 Breakthrough Technologies 2024 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版
  3. Covid hasn’t entirely gone away—here’s where we stand 新型コロナはもう「終わった」のか? 現状を整理する
  4. Generative AI can turn your most precious memories into photos that never existed 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶
タグ
クレジット Image courtesy of the Weather Channel and IBM
トム サイモナイト [Tom Simonite]米国版 サンフランシスコ支局長
MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #28 「自動運転2.0  生成AIで実現する次世代自律車両」開催のご案内
  2. 10 Breakthrough Technologies 2024 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版
  3. Covid hasn’t entirely gone away—here’s where we stand 新型コロナはもう「終わった」のか? 現状を整理する
  4. Generative AI can turn your most precious memories into photos that never existed 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る