KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中
Merck Invests in RNA Startup to Target Cancer

メルクが2億ドル出資した
mRNAがん治療法とは?

うまくいけば、メッセンジャーRNA療法で患者別がんワクチンを手軽に製造できる。 by Ryan Cross2016.07.05

大手製薬会社のメルクが2億ドルのライセンス契約を発表した。契約相手は、RNAに基づいた治療法を開発するマサチューセッツ州ケンブリッジの新興企業モデルナ・セラピューティクスだ。メルクは自社が持つがん免疫療法分野の専門知識と、モデルナの患者別がんワクチンの専門知識を結び付け、2つの治療法を併用することで、より効果的にがんを治療しようとしている。

モデルナは患者別がんワクチンを2017年には臨床試験することを目指している。モデルナの新治療法の本質は、分子レベルで改変したメッセンジャーRNA(mRNA)にある。mRNAは、DNAの遺伝子コードをタンパク質に翻訳する働きがある。mRNA内のヌクレオチド(略号文字)を配置し直すことで、モデルナはさまざまな疾患の治療に役立つ抗体その他のタンパク質を作り出せる。

理論上、治療用mRNAは体内でどんなタンパク質でも作り出せる。では、なぜこの手法に以前は注目されなかったかのだろうか。実は、血液にそのまま注入されたmRNAを人体はウイルスとみなし、免疫反応により攻撃してしまうのだ。モデルナの治療法では、mRNAの2文字をウイルス免疫反応を引き起こさない自然類似物に書き換え、この問題を克服した。

mRNAに基づく同様の治療法を開発する会社は他にもいくつかある。シャイアーはmRNAを嚢胞性線維症の治療に使用する研究について2014年に発表したが、その後は開発に関する発表はない。ドイツのバイオ企業EthrisはmRNAを希少疾患の治療に使おうと研究開発中である。

RNA治療分野では、ほとんどの場合、異なるテクノロジーを扱う企業同士の競争だ。RNA干渉またはRNAiを用いたテクノロジーで、有害タンパク質の生成を止めたりがん細胞の増殖を抑えたりするために、自然に存在するmRNAの活動を阻害する。マサチューセッツ州ケンブリッジのアルナイラムはRNAiを使った2つの治療法の後期臨床試験中で、さらにいくつかの治療法が初期臨床試験段階にある。

人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #28 「自動運転2.0  生成AIで実現する次世代自律車両」開催のご案内
  2. 10 Breakthrough Technologies 2024 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版
  3. Covid hasn’t entirely gone away—here’s where we stand 新型コロナはもう「終わった」のか? 現状を整理する
  4. Generative AI can turn your most precious memories into photos that never existed 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶
ライアン クロス [Ryan Cross]米国版 ゲスト寄稿者
パデュー大学で神経科学と遺伝学を学び、ボストン大学の科学ジャーナリズムプログラムを卒業したジャーナリスト。コーヒーを飲むことと遺伝子編集の話も大好きですが、最新の科学トレンドや発見を解きほぐし、分かりやすく調合するのも得意です。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #28 「自動運転2.0  生成AIで実現する次世代自律車両」開催のご案内
  2. 10 Breakthrough Technologies 2024 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版
  3. Covid hasn’t entirely gone away—here’s where we stand 新型コロナはもう「終わった」のか? 現状を整理する
  4. Generative AI can turn your most precious memories into photos that never existed 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る