KADOKAWA Technology Review
×
ひと月あたり1000円で購読できる春のキャンペーン実施中!
主張:ロボタクシーで「ドライバー消滅」に現実味、政策加速を
AP Photo/Matt York
人工知能(AI) 無料会員限定
Robotaxis are here. It’s time to decide what to do about them

主張:ロボタクシーで「ドライバー消滅」に現実味、政策加速を

サンフランシスコなどの大都市ではすでに、無人自動運転の「ロボットタクシー」が乗客を乗せて走行している。だが、それに対する政策はまるで追い付いていない。 by Benjamin Schneider2023.06.29

サンフランシスコの一部の地区では、夜間のある時間帯になると、道路を走る車の10台に1台はハンドルを握る運転手がいないように見える。

それらの車は実験的なテスト車両ではなく、演習でもない。サンフランシスコの幽霊のような無人自動運転車の多くは商用のロボットタクシーで、タクシーやウーバー(Uber)、リフト(Lyft)、公共交通機関と直接競合する存在である。まだ取るに足らない台数ではあるが、現実にサンフランシスコの運輸システムの一部となっている。そして、ロボットタクシーの運営企業であるクルーズ(Cruise)とウェイモ(Waymo)は、サンフランシスコのほか、テキサス州オースティン、アリゾナ州フェニックスでもサービスの拡大を続け、そしておそらく今後数カ月のうちにロサンゼルスでも、サービスを開始する構えだ。

私は1年かけて、サンフランシスコ・イグザミナー紙でロボットタクシーを取材してきた。ここ数カ月で、クルーズの無人自動運転車に10回近く乗っている。取材中、私はロボットタクシーに関する世論に切迫感がないことに驚かされてきた。そして、政策を決定する立場にある多くの有力者をはじめ、ほとんどの人々は、この産業がどれほど急速に進展しているのかということや、近い将来、労働や輸送に与えるかもしれない影響の深刻さを、認識していないのだと考えるようになった。

ロボットタクシーに関する極めて重要な決定は、カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission)などの指定機関が、比較的ひっそりと下している。法的枠組みの整備もまったく不十分なままだ。カリフォルニア州では、道路を行き来するロボットタクシーを規制する権限を各都市が持っていないため、ロボットタクシーが交通違反を犯したとしても警察が法律で取り締まることはできない。

今はまさに、この新しいテクノロジーの未来を形作る上で、国民と、選挙で選ばれたその代表者たちが、より積極的な役割を果たすべき時だ。好むと好まざるとにかかわらず、ロボットタクシーはすでに存在する。ここからは、それらについて何をするべきか決めるという、難しい仕事が待っている。

長年にわたり空手形に終わってきたが、今では、自分専用の睡眠/ゲーム/メイクアップ用の移動空間を所有するという夢が叶うのは、何十年とは言わないまでも、まだ何年も先の話だということが広く知れ渡っている。誤解を招く名前が付けられたテスラの「オートパイロット(Autopilot)」システムが、量販車の中では最も自律運転に近いとされてい …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る