KADOKAWA Technology Review
×
失敗から学ぶAIが家庭用ロボットの新時代を開く
Peter Garritano
人工知能(AI) 無料会員限定
Robots that learn as they fail could unlock a new era of AI

失敗から学ぶAIが家庭用ロボットの新時代を開く

多機能ロボットを開発して家庭に普及させたいニューヨーク大学のピント助教授は、ロボットに失敗から学ばせるようにすれば、AIモデル構築のネックとなる大量の訓練用データを用意する必要がなくなると考えている。 by Will Douglas Heaven2023.09.15

31歳のレレル・ピントは自分の研究について聞かれたら、別の質問で返すようにしている。「自宅でクールなロボットを最近見たのはいつですか?」と。その答えは、質問者がロボット掃除機を持っているかどうかで変わるだろう。「昨日」か「一度も無い」だ。

ピントの研究は、こうした状況を変えるものだ。ニューヨーク大学(NYU)のコンピューター科学研究者であるピント助教授は、掃除のほかにもさまざまなことができるロボットを家庭に置きたいと考えている。「どうすれば、生活にもっと溶け込んだ存在となるロボットを現実に作れるのでしょう。家事をしたり、高齢者の世話やリハビリをしてくれたり、必要なときに側にいてくれるようなロボットを、どうすれば作れるのでしょうか」。

問題は、多機能ロボットを訓練するには大量のデータを用意しなければならない点だ。ピント助教授は、データを収集する斬新な方法を見い出すことで、この問題を解決しようとしている。とりわけ、ロボットが学習しつつデータを収集する、自己教師あり学習と呼ばれるアプローチである(これはメタの主任AI科学者であり、ニューヨーク大学でのピントの同僚であるヤン・ルカン教授らも支持する手法である)。

カリフォルニア大学バークレー校ロボット学習ラボのピーテル・アビール所長は、「レレル助教授の研究は、機械学習とロボット工学を結びつける大きなマイルストーンです」と言う。「彼が現在している研究は、未来のロボット学習において、その初期の構成要素を数多く築いたものとして振り返られるようになることでしょう」。

家庭用ロボットがコーヒ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る