KADOKAWA Technology Review
×
動画、ロボット、マルチモーダル——生成AIの次のトレンドは?
【6/26開催】イベント申込受付中!
LLM時代の言語危機に立ち向かうアフリカのスタートアップ
Courtesy of Lelapa AI
人工知能(AI) 無料会員限定
This company is building AI for African languages

LLM時代の言語危機に立ち向かうアフリカのスタートアップ

チャットGPTをはじめとするAIモデルは多様なアフリカの言語をほとんど理解できない。こうした現状を変えるべく、複数のスタートアップが、アフリカの人々に役立つAIを構築しようと取り組みを進めている。 by Abdullahi Tsanni2023.12.27

南アフリカ共和国ヨハネスブルクのローズバンク地区のコワーキングスペースで、ジェイド・アボットはパソコンを開き、イシズールー語で1から10まで数えるようチャットGPT(ChatGPT)に命令した。イシズールー語は、アボットの母国である南アフリカ共和国で1000万人以上が使用している言語である。コンピューターサイエンティストで研究者のアボットは、その結果は「乱雑で滑稽なものだった」と話す。

アボットは次に、イシズールー語でいくつかの文を入力して英語に訳すように命令した。その結果はやはり、正解からはほど遠いものだった。訓練に使えるデータは不足しているものの、人工知能(AI)モデルに特定の言語を取り入れる努力はなされている。だが上記のような結果は、アボットにとって、AIが自分たちの言語をまだ捉えていないことを如実に示していた。

アボットの経験は、英語を話さないアフリカ人の状況を反映している。チャットGPTをはじめとする多くの言語モデルは、特にアフリカの言語など、少数話者の言語ではうまく機能しない。こうした状況を変えようと、アボットと生物医学工学者のペロノミ・モイロアが共同創業した新興ベンチャーであるレラパAI(Lelapa AI)は、機械学習を駆使してアフリカの人々のためのツールを開発している。

レラパAIが11月17日に公開した新たなAIツール「ブラブラ(Vulavula)」は、アフリカで使われている言語の音声を文章に変換したり、文章の中の人名や地名を検出したりすることができる(文書を要約したり、インターネット上で誰かを探したりする際に役立つ可能性がある)。現在、南アフリカで使用されている4つの言語(イシズールー語、アフリカーンス語、セソト語、英語)を認識可能で、開発チームは、アフリカ全土の他の言語も取り入れるべく取り組んでいる。

このツールは単独で使用するだけでなく、チャットGPTやオンラインの対話型チャットボットなどの既存のAIツールに組み込むこともできる。現在アフリカの言語をサポートしていないそれらのツールを使う際に、Vulavula(ツォンガ語で「話す」という意味)が助けになることを期待している。

アフリカの言語に対応したAIツールや、アフリカの人名や地名を認識できるAIツールがないことで、アフリカ人が経済的な機会から締め出されてい …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る