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次世代半導体覇権争い、
米国に迫られる選択
Tim Herman/Intel
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We need a moonshot for computing

次世代半導体覇権争い、
米国に迫られる選択

半導体における米国の長期的リーダーシップの確保を目指す「CHIP法」の成立から約1年半たった現在、米国政府は5年間を見据えた保守的な戦略をとるか、真のムーンショットを目指すかの選択を迫られている。 by PJ Maykish2024.01.03

オバマ政権が政権最後の数週間に発表した報告書は、米国の科学技術コミュニティに大きな波紋を広げることとなった。『半導体における米国の長期的リーダーシップの確保(Ensuring Long-Term US Leadership in Semiconductors)』と題されたこの報告書は、従来のコンピューターチップの製造方法が物理的限界に達してしまい、米国はチップ産業における優位性を失う危険性があると警告していた。そしてその5年半後の2022年、連邦議会とホワイトハウスは協力し、マンハッタン計画、アポロ計画、ヒトゲノム計画に倣った大胆な事業である「半導体・科学法(CHIPS法)」を可決し、その可能性に対処することにした。3つの政権にわたり、米国政府は次のコンピューティング時代に向けた体制を整え始めたのだ。

ジーナ・レモンド商務長官はCHIPS法の可決を、ジョン・F・ケネディ大統領が1961年に宣言した月面着陸計画に直接なぞらえた。レモンド商務長官は民間企業だけでは到達できないような大胆な技術目標を達成するために、国家的なイノベーション・エコシステムを組織するという米国の伝統を想起させたのである。ジョン・F・ケネディ大統領の月面着陸計画の発表以前、宇宙における国家競争力を確保するための最善の道筋をめぐっては、組織的な課題や意見の相違があった。このようなことが起こると、技術的な野望がそれぞれのタイムラインに委ねられてしまう。

技術開発のための国家政策の設定には、トレードオフを実施し、未知の将来の問題に取り組むことが含まれる。政府はどのように技術の不確実性を考慮するのか? 民間部門との関係はどうなるのか? そして、短期的に競争力を高めることに集中することと、潜在的なブレークスルーに大きな賭けをすることのどちらが合理的なのだろうか?

CHIPS法は、チップ工場(「ファブ」)とその主要サプライヤーを米国に呼び戻すために390億ドルを割り当て、さらにマイクロ・エレクトロニクスの研究開発に110億ドルを拠出した。この研究開発プログラムの中心となるのが、米国立半導体技術センター(NSTC:National Semiconductor Technology Center)である。NSTCは次世代のマイクロ・エレクトロニクスを発明するために、最良のイノベーション・エコシステムを結集させる国立の「卓越センター」として構想されている。

それから1年半かけて、CHIPSプログラムとオフィスが立ち上げられ、アリゾナ、テキサス、オハイオのチップ製造施設の建設が開始された。しかし、この分野の将来を形作る鍵を握っているのはCHIPS研究開発プログラムである。最終的には、国家の研究開発目標に関して選択をする必要がある。米国は、今後5年間リードを維持することを目的とした保守的な戦略を採用するか、またはコンピューティング分野における …

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