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トランプ2.0時代の科学技術報道のスタンス
MITTR
Science and technology stories in the age of Trump

トランプ2.0時代の科学技術報道のスタンス

トランプ候補の圧勝で、科学技術分野にも大きな政策転換が予想される。今後の本誌の報道姿勢と取り組むべきテーマについて、米国版編集長がお伝えする。 by Mat Honan2024.11.12

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

今回はニュースを分析する代わりに、私たちがどのように報道を作り上げているか、その舞台裏を少しお伝えしたい。

私は今年のほとんどを、ドナルド・トランプ候補が第47代米合衆国大統領になるだろうと確信しながら過ごしてきた。それでも多くの人と同じように、今回の勝利にはやはり驚かされた。トランプ候補は選挙人団だけでなく一般投票でも多くの支持を集め、さらに上院(そしてこの記事の執筆時点では下院も)での勝利と最高裁の継続的支配も相まって、僅差以上の大きな成果を収めた。この規模での「圧勝」は間違いなく、幅広い政策変更を進めるための政治的資本をもたらすことになるだろう。

トランプ政権が変更するであろう政策の中には、MITテクノロジーレビューが扱う守備範囲をはるかに超えるものもある。だが、トランプ次期大統領の掲げる多くの政策目標は、科学技術に直接的な影響を与えるものだ。また、本誌が長年にわたって定期的に取り上げてきた産業やイノベーションに深い影響を及ぼすものもある。例えば、EV(電気自動車)の税額控除を廃止し、FTC(連邦取引委員会)の巨大テック企業への規制を緩和し、暗号資産に対する規制を緩め、中国からの輸入品に60%の関税を課す意向を示していることは、私たちの報道対象のど真ん中に位置する。これらの政策とその影響を詳細に報じないわけにはいかない。

そこで、先週水曜日(11月6日)の編集会議で私が話した内容の一部を共有したいと思う。その朝、目を覚ますと、私は世界が確かに変わったことに気づいた。特に今後数カ月間は、おそらく混乱が予想されるだろう。私たちの方針を透明性を持って率直に伝えることは、読者にとって有益であると考えている。

いまこの瞬間こそ、私たちの仕事がこれまで以上に重要な時となる。今後数週間、数カ月、さらには数年にわたり、世の中には多くのノイズと激しい論争が巻き起こるだろう。特に今後6カ月間は、多くの人にとって混乱の時期となるはずだ。私たちは、そのノイズの中で信頼できる情報源であることを目指すべきである。

新政権における科学技術の役割について、極めて重要な記事を書くことが求められている。気候変動、エネルギー、ワクチン、女性の健康、IVF(体外受精)、食品安全、半導体、中国など、取り上げるべき明白なテーマがたくさんある。ほかにもさまざまな疑問が生じるだろう。まずは、私たち自身が抱いている疑問をリストアップするところから始めたい。取り上げる人物やテクノロジーの中には、さまざまな意味で存在感を増すものも出てくるだろう。その力を吟味する必要がある。これらの記事では、憶測や思い込みを排除することが重要だ。事実をしっかりと確認し、真実を伝え、揺るぎない姿勢で臨むことが求められる。

すべてを放り出してこの話題だけを扱うかといえば、そうではない。だが、この話題が他のほぼすべてのニュースに影響を与える大きなストーリーであることは間違いない。

今回の選挙は、社会や世界にとって変革の瞬間となるだろう。トランプ候補は単に勝利しただけでなく、強い支持を得て勝利した。その結果、国や世界秩序を変えることになるだろう。今後数週間、それが何を意味するのか、多くの憶測や不安、疑念が飛び交うことになる。膨大な情報が流れてくる中で、人々は信頼できる情報源を渇望するはずだ。私たちはその期待に応えるために存在しなければならない。私たちの信頼性を活用し、それを無駄にしてはならない。

私たちは「抵抗勢力」ではない。ただ、真実を伝えたいだけだ。一息ついて、外に出て、そして私たちの仕事に取り組もう。

私はよく、記者や編集者に「報道は誇張やシニシズムから解放されるべきだ」と伝えるようにしている。特に今、そのことはより重要であると思う。

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マット・ホーナン [Mat Honan]米国版 編集長
MITテクノロジーレビューのグローバル編集長。前職のバズフィード・ニュースでは責任編集者を務め、テクノロジー取材班を立ち上げた。同チームはジョージ・ポルク賞、リビングストン賞、ピューリッツァー賞を受賞している。バズフィード以前は、ワイアード誌のコラムニスト/上級ライターとして、20年以上にわたってテック業界を取材してきた。
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