生成AI時代の自衛術、
あなたのアート作品を
スクレイピングから守る方法
ネット上に公開したイラストやアート作品が無断でスクレイピングされ、生成AIの訓練に使われる動きに対し、クリエイターたちの対抗手段は進化している。知っておくべき具体的な防衛策を4つ、紹介しよう。 by Melissa Heikkilä2024.11.26
- この記事の3つのポイント
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- アート作品がAIの訓練に利用されないよう守る4つの方法を紹介
- 自分のスタイルを隠すツールの利用や共有方法の見直しが有効
- 最終手段として画像に毒を仕込んでAIの学習を妨害する方法も
生成AIブームが始まって以来、アーティストたちは人工知能(AI)ツールに仕事を奪われることを心配してきた。実際、これまで多くの企業が人間の労働力をコンピューター・プログラムで置き換えてきた。最近では、コカ・コーラが生成AIを使って新しいクリスマス広告を制作し、論争を巻き起こした。
アーティストや作家は、同意や報酬なしに自分たちの作品がスクレイピングされ、AIモデルの訓練用データベースに取り込まれたと主張し、AI企業に対して複数の訴訟を起こしている。一方、テック企業は、「インターネット上に公開されているものはすべてフェアユースに該当する」と反論している。この問題が法的に解決されるまでには、まだ何年もかかると見られている。
残念ながら、あなたの作品がすでにデータセットにスクレイピングされ、市場に出ているモデルに使用されている場合、できることはほとんどない。しかし、将来的に自分の作品が無断で使用されるのを防ぐための対策を講じることは可能だ。
自分の作品を保護するための4つの方法を紹介しよう。
1. 自分のスタイルを隠す
アーティストがAIによるスクレイピングに対抗する最も一般的な方法のひとつは、画像に「マスク」を適用して自分のスタイルがコピーされるのを防ぐことだ。
ミスト(Mist)、アンチドリームブース(Anti-DreamBooth)、グレイズ(Glaze)などのツールがあり、これらは人間の目には見えない小さな変更を画像のピクセルに追加する。この改変により、たとえ画像がスクレイピングされたとしても、機械学習モデルが正しく解読できなくなる。ミストやアンチドリームブースを利用するにはある程度のコーディング・スキルが必要だ。シカゴ大学の研究チームが開発したグレイズはより簡単に利用できる。グレイズは無料で提供されており、アプリとしてダウンロードできるほか、オンラインでも画像に保護を適用できる。現在、最も人気のあるツールであり、数百万回ダウンロードされている。
ただし、このような防御策が完璧であるわけではない。今日有効な方法が明日には通用しなくなる可能性もある。コンピューター・セキュリティ分野では、防御 …
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