
本誌のAI担当記者が最近ハマっていること(ショートコラム)
MITテクノロジーレビュー[米国版]のAI担当記者であるジェームス・オドネルは、AIによって生成されていない作品に夢中になっている。 by James O'Donnell2025.08.29
1. 「Overthink」
「Overthink(考えすぎる)」は、2人の非常に聡明な人物(たまたま若くてユーモアのある哲学教授である)が、現代生活の側面と哲学の間に意外なつながりを見出すポッドキャストである。エリー・アンダーソンとダビッド・ペーニャ=グスマンは、「母親との関係」から「動物の正義」まで、幅広いテーマについて1時間のエピソードを制作しており、特にバイオハッキングやAIと芸術の関係といったテクノロジーに関連する問題について鋭い洞察を提供している。私が「社会はまったく新しい問題に直面している」と思うたびに、彼らは何世紀も前にその問題について思索していた人物を紹介してくれる。聴く価値のある番組だ。
2. テック億万長者の地下シェルターからの映画
この夏、私は『マウンテンヘッド(Mountainhead)』を非常に楽しみにしていた。これは、『サクセッション(Succession)』の制作者ジェシー・アームストロングによる、ブラックユーモア満載の映画で、AIディープフェイクによって引き起こされた政治的混乱と暴力の中で世界が崩壊していく様子を、4人の嫌われ者のテック創業者たちが眺めるという内容である。ドキュメンタリーのように感じることは覚悟していたが、AIの推進者たちと頻繁に接している記者にとっては、あまりにリアルすぎると感じた。彼らは人里離れた山の豪邸から、AI加速主義、功利主義的倫理、意識のクラウドへのアップロード、人類の他惑星への解放といった話題を語る。これらはすべて、現政権に多大な影響を与えているテック・エリートたちの間でよく交わされている会話である。
3. 人間による音楽
昨冬の大半を通して、私はAI生成音楽がどこまで進化したか、取材をしていた。私はギター、ベース、ドラムを演奏する生涯ミュージシャンだが(どれも特に上手ではない)、私が聴いた楽曲は——アーティストの作品集を無断で学習に用いたとして、開発者が訴えられているモデルによって生成されたものだが——非常に人間的で説得力があり、深い不安を感じさせるものであった。それ以来、私はAIには到底真似できないことを実際に人間がやってのけるパンクバンドやジャズトリオのライブショーに、かつてない情熱を抱くようになった(最近のお気に入りはソフィー・トルアックスである)。
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- ジェームス・オドネル [James O'Donnell]米国版 AI/ハードウェア担当記者
- 自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。