KADOKAWA Technology Review
×
【2025年必読記事まとめ】年間購読料20%オフのチャンスも
キッチンもある「海底の家」
40年ぶりの居住施設で
科学者4人が1週間生活へ
Courtesy DEEP
カルチャー Insider Online限定
The first new subsea habitat in 40 years is about to launch

キッチンもある「海底の家」
40年ぶりの居住施設で
科学者4人が1週間生活へ

フレンチプレス、電子レンジ、シンク、トイレを備えた海底居住施設が、2026年初頭にフロリダ沖に設置される。床の穴から海に出入りし、減圧不要で長時間潜水が可能。約40年ぶりの海底居住施設だ。 by Mark Harris2025.11.11

この記事の3つのポイント
  1. ディープ社が約40年ぶりの海底居住施設「ヴァンガード」を2026年初頭にフロリダ沖に配備すると発表
  2. 海底50メートルでの長時間潜水を可能にし、未探査の海洋95%の科学研究を加速する技術的基盤を提供
  3. より大規模なセンティネル計画への技術実証として位置付けられ、海洋における人類の恒久的居住を目指す
summarized by Claude 3

ヴァンガード(Vanguard)は新しいキャンピングカーのような感触と匂いがする。寝台に変換できる長いグレーのバンケットシート、カウンターの下には巧妙に隠された電子レンジ、その上にはフレンチプレスと食器を備えた機能的なスチール製シンクがある。奇妙な小さなトイレがカーテンの後ろに隠れている。

しかし、いくつかの手がかりから、Vanguardはエンジンを始動させて駐車場から発進させるキャンピングカーではないことがわかる。最も分かりやすいのはそのドアだ。回転させてロックするホイール付きの巨大な鋼鉄の円盤になっている。

Vanguardは2026年初頭に、フロリダキーズ国立海洋保護区の海中の恒久的な拠点に密閉されて移動され、約40年ぶりの最新の海底居住施設となる。4人の科学者チームが一緒に海底で1週間生活して作業を実施し、スキューバダイバーとして居住施設に出入りする。科学者らのミッションには、サンゴ礁の修復、種の調査、水中考古学、さらには宇宙飛行士の訓練も含まれるかもしれない。

Vanguardには、「ムーンプール」と呼ばれる、床に穴を開けたままの出入口を備えたモジュールがある。「ウェットポーチ」というそっけない名前が付けられたそのモジュールは、Vanguardの気圧が周囲の水と一致しているため海水が浸入してこない。

この加圧こそがVanguardを非常に有用にしているものである。最大運用深度50メートルで作業するスキューバダイバーは、通常、減圧症を避けるために水面に戻る途中で長時間にわたって停止する必要がある。痛みを伴い、致命的になり得るこの状態は、潜水病としてよく知られており、ダイバーが急速に浮上した場合に発症する。従来の50メートルダイビングでは、スキューバダイバーは海底でわずか数分しか過ごせず、1日にそのようなダイビングを数回しか実施できない。Vanguard内の気圧が海水と同じであるため、潜水士は滞在の最後に一度だけ減圧すればよいので、毎日何時間も潜水できるかもしれない。

これにより、あらゆる種類の新しい科学と探査が可能になる可能性がある。「海でより多くの時間を過ごすことは可能性の世界を開き、発見、インスピレーション、解決策 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
誇大宣伝の訂正:AIへの期待値を再設定する

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る