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中国製ロボットを締め出す米国、その研究は中国製で回っている
VCG via AP Images
Trump’s AI protectionism has come for robotics

中国製ロボットを締め出す米国、その研究は中国製で回っている

米連邦通信委員会(FCC)による人型ロボットの輸入禁止は、単なる対中貿易政策の一章ではない。トランプ政権が、AI保護の対象を主要研究所からロボットという最前線へ広げた証拠だ。だが皮肉なことに、守られるはずの米国のロボット研究は、中国製の安価な機体で回っている。 by James O'Donnell2026.08.04

この記事の3つのポイント
  1. FTCが外国製先進ロボットの輸入を全面禁止し、国家安全保障と国内産業保護を理由に挙げた
  2. この措置はAI産業保護を新興ロボティクスセクターまで拡大するトランプ政権の戦略的意図を示す
  3. 米国の研究機関が中国製安価ロボットに依存する実態があり、禁止が産業育成と逆行するリスクがある
summarized by Claude 3

人型ロボット(ヒューマノイド)は、感嘆よりも失笑を誘うことが多い。よろめき、転倒し子どもを蹴り、技術が進歩してもなお手の使い方は私の幼い子どもにも及ばない。人型ロボットはまだ黎明期の産業であり、実際の職場や家庭よりもバイラル動画の中で目にすることの方が多い。

それだけに、先週、米連邦通信委員会(FCC)が、人型ロボット、四足歩行ロボット、車輪型ロボットを含む先進ロボットの外国からの輸入を全面的に禁止する措置を発表したことは驚きだった。党派色を強め、トランプ政権との足並みをそろえるFCCは、この決定の理由として2点を挙げている。一つは、外国製の人型ロボットが家庭内だけでなく、機密性の高い施設でも大量のデータを収集する可能性があり、国家安全保障上の脅威になりうるという点だ。もう一つは、米国のロボット企業を中国との競争から保護し、より強靭で安全な国内サプライチェーンを構築する必要があるという点である。

一見すると、これは政治的利益と産業界の利益を一致させる、トランプ政権よりはるか以前から存在する戦略である。中国が太陽光パネルや電気自動車、ドローンといった戦略的技術の安価な製品を供給できるようになるたびに、米国政府は関税や政府機関の調達規則を用いて、それらが市場に大量流入するのを阻止しようとしてきた。こうした措置の後には必ず、消費者が負担する価格の上昇をはじめとする代償が、得られる利益に見合うのかという議論が起きる。

しかし、ロボット工学は今やAI産業を構成するもう一つの分野、しかも多くの意味でその最先端と捉えるのが適切である。トランプ政権は米国のAI産業を保護する姿勢をますます強めており、オープンAI(OpenAI)やアンソロピック(Anthropic)のモデルに匹敵する性能を持ちながら、はるかに低コストな中国製オープンモデルの禁止を検討しているとも報じられている。そのような措置が実施されれば、企業は年間推定250億ドルのコスト削減機会を失うことになる。

したがって、人型ロボットの輸入禁止は、従来の対中貿易政策の延長線上にある一章としてではなく、トランプ政権がAI産業の保護対象を現在の主要AI研究所の枠を超えて広げつつある証拠として理解すべきである。政権は今や、まだようやく足場を築き始めたばかりの新興ロボット産業のためにも介入する意思を示している。

米国のロボット企業の一部がFCCの今回の措置を歓迎するのは、意外なことではない。点検用の四足歩行ロボットを製造するゴースト・ロボティクス(Ghost Robotics)の最高経営責任者(CEO)、ギャビン・ケネリーは、外国製ロボットがもたらすサイバーセキュリティ上のリスクは現実のものだと述べる。今回の決定に伴ってFCCが公開した文書では、ある人物が7000台のロボット掃除機を制御下に置くことができた事例が引用されている。「今回の発表が、サイバーセキュリティの強化と、より公平な競争環境の実現を促すのであれば、それは顧客にとってもロボット産業にとっても良いことです」とケネリーはメールで述べた。

しかし、新たな規則が米国のロボット企業を後押しすることを目的としているのであれば、そこには大きな欠陥がある。そうした企業や大学のロボット研究室は、研究を進めるうえで、中国製の安価なロボットに大きく依存しているからだ。研究者たちは、ワッフルをひっくり返すことから洗濯まで、新たな作業を絶えず学習するロボット群を構築しており、米国製ではなく中国製の人型ロボットを頻繁に購入している。新たな決定は「米国の人型ロボット研究者にとって課題となります」と、ロボット産業団体であるオートメーション推進協会(Association for Advancing Automation:A3)の市場情報担当ディレクター、アーロン・プラザーは言う。「中国製モデルは、現在入手できる製品の中で最も優れた費用対性能比を実現しています」。プラザーによると、同団体が最近実施した内部調査では、米国の大学が発表した最近のロボット研究論文の90%が、中国を代表する人型ロボット企業、ユニツリー(Unitree)のロボットを利用していた。

その価格差は非常に大きい。ユニツリーの四足歩行ロボットは約4600ドルで購入できる。一方、ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)の同等製品は27万8000ドルにもなる。こうした安価なロボットが入手できなくなり、ロボット研究が停滞すれば、FCCの決定は産業を後押しするどころか、かえってその発展を遅らせる可能性がある。

米国と中国のロボット産業は、置かれている状況が著しく異なる。ユニツリーは今週、約60億ドルの評価額を目標に新規株式公開(IPO)を実施する予定である。米国には意味のある比較対象となるロボット工学企業は存在せず、現存する企業も、ロボットの出荷台数が明らかに少ない。フィギュア(Figure)の人型ロボットはまだ本格的な量販段階に入っておらず、1X(ワンエックス)のロボットも家庭向けの出荷を開始していない。とはいえ、人型ロボットの開発は次第に主流となりつつある。先週のグーグルの発表が、そのことを明確に示した。同社は、人型ロボットが新たな作業をより速く学習できるようにする新しいAIモデルを発表した。その最も印象的な能力は、ごみ袋の口を縛ることのようだが、ロボットの手がいかに扱いにくいかを考えれば、これは確かな進歩である。

FCCの命令には多数の適用除外が含まれているため、実際にどのような影響が及ぶかを予測するのは難しい。しかし、その象徴的な意味は明白である。政権は人型ロボットを単なる目新しい技術ではなく、外国との競争から守る価値のあるAIの戦略的最前線と見なしている。つい最近まで、主にステージ上で転倒する姿で知られていた技術にとって、これは大きな変化である。

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自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。
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