AIは創造的な仕事も奪うのか?現代アートで人間と勝負した結果
機械は今日、さまざまな分野で人間と同等あるいはそれ以上の成果をあげつつあるが、より優れた芸術を創造することもできるのだろうか。人間のアートと機械が作ったアートの違いを見分けられるかどうか、どちらのアートが好きであるかを一般の人たちに尋ねてみた。 by Emerging Technology from the arXiv2017.07.04
創造性はマシン・インテリジェンスにとって大きな課題の1つだ。機械が現在、人間と同等もしくは人間以上の成果を上げている実例は数えきれない。顔や物体の認識、落書き、画像合成、言語翻訳、チェスや碁といった多種多様なゲームなど、試みは広大な領域にわたる。しかし、創造性に関しては、機械はかなり遅れている。
機械が創造性に関して後れを取っているのは、決して努力が足りないからではない。たとえば、機械はすでに、芸術的スタイルを認識し、画像内容から分離して、他の画像に適用できる。たとえば、どんな写真でもゴッホの名作「星月夜」風の画像に変えられる。 しかし、こういった成果は、芸術的スタイルの本質について重要な洞察を提供しても、創造性とはみなされない。残る課題は、創造性のためにマシン・インテリジェンスを活用する方法を見つけることだ。
2017年6月30日、ニュージャージー州にあるラトガース大学芸術・人工知能研究所のアーメド・エルガマル教授が、フェイスブックの人工知能(AI)研究所の研究所と協力して、ある実験をした。その結果、この分野の進歩についていくつかの知見を得られた。
エルガマル教授のチームは、機械を訓練して、人間の作り出す芸術によく似ているが、重要な部分で異なる画像を作成できるようにした。さらに、創造性に関する一種のチューリングテストとして、人間の芸術と機械が作った芸術の違いを見分けられるかどうか、どちらの芸術が好きであるかを、一般の人々に尋ねた。結果は予期せぬものだった。
アプローチは比較的単純だ。実験に使うのは、学習プロセスを自動実行する2つのニューラル・ネットワークで構成する「競争式生成ネットワーク(Generative Adversarial Network、GAN)」と呼ばれる機械である。
競争式生成ネットワーク(GAN)を構成するニューラル・ネットワークの1つは、従来のマシンビジョン・アルゴリズムで、特定のタイプの画像を認識することを学習する。エルガマル教授のチームは、15 世紀から20世紀までの1000人以上の芸術家による8万点以上の絵画を格納したウィキアート(WikiArt)のデータベースを使って、ネットワークを訓練した。
ウィキアートのデータベースには1万3000以上の印象派の絵画、2000のキュービズムの絵画、1000以上のルネッサンス初期の絵画などが収められている。これらの絵画の各画像には芸術的スタイルのタグが付けられており、機械はこれらのスタイルをそれぞれ認識するように学習する。
次に、もう1つのネットワークにランダムな画像を作成させ、訓練されたネットワークに提示する。訓練されたネットワークは、提示された画像を特定の芸術的スタイルを表すものとして認識するか、拒否する。第2のネットワークは、多数の画像を作成することで、第1のネットワークが試行錯誤によって芸術であると認識しているものを学習する。これを何度も繰り返すことで、特定のスタイルに当てはまる画像を作成できるようになるのだ。
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