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 気候変動の「加害者」は誰か? 気候科学の進歩で企業責任の追及に勢い
AP Photo/Alren Beronio
The building legal case for global climate justice

気候変動の「加害者」は誰か? 気候科学の進歩で企業責任の追及に勢い

米国やEUは世界の化石燃料を不均衡に燃焼し、約200兆ドルとも試算される「気候債務」を積み上げてきた。しかし法的に排出者の責任を認めた判決はまだない。特定企業の排出と特定災害を結びつける科学の進歩が、グローバルサウスの訴訟に新たな武器を与えつつある。 by James Temple2026.02.25

この記事の3つのポイント
  1. 米国やEUが不均衡な化石燃料消費で気候変動を引き起こし、最貧困地域が最も深刻な被害を受けている構造的不公正が存在する
  2. 気候科学の進歩により特定企業の排出と異常気象の因果関係を立証する技術が発達し、グローバルサウスで気候関連訴訟が増加
  3. 欧州人権裁判所等の判例で国家の気候保護義務が確認され、企業の気候損害責任を問う法的基盤が整いつつある
summarized by Claude 3

米国と欧州連合(EU)は、気候に対する残虐行為を犯すことで経済超大国へと成長した。両者は世界の石油・ガスを著しく不均衡な割合で燃焼し、地球上で最も貧しく、最も高温な地域で最初に炸裂する炭素の時限爆弾を仕掛けてきた。

一方、ソロモン諸島やチャドのような低地、あるいは単に酷暑にさらされている地域は、比較的わずかな二酸化炭素しか排出していないにもかかわらず、その緯度条件や歴史的背景ゆえに、地球温暖化の最も深刻な影響に対して最も脆弱な国々に数えられている。これは、破壊力を増すサイクロン、熱波、飢饉、洪水に直面することを意味する。

道徳的に見れば、この混乱を引き起こした国や企業が、破壊される住宅、海面上昇で水没する海岸線、そして短命に終わる生命に対して補償すべきだという主張には揺るぎない根拠がある。ある推計によれば、主要経済国は世界の他地域に対し、気候債務として約200兆ドルに及ぶ賠償責任を負っている。

しかし法的には、この主張を立証するのははるかに困難であった。管轄権の問題を差し引いても、初期の気候科学では、大気中を漂う二酸化炭素分子の起源を海や年月を越えて追跡することができなかった。資金力のある企業は、一流の法務チームを擁して、こうした困難を容易に利用してきた。

しかし今、潮目が変わりつつあるのかもしれない。特にグローバルサウスでは、気候関連訴訟の提起が増加している。気候の影響に最もさらされている国々の政府、非営利団体、市民は、新たな法廷で新たな法理を試み続けており、その一部の裁判所は、人権問題として国家や産業に責任を負わせることに以前より積極的な姿勢を示している。さらに、特定の気象災害について誰がどの程度責任を負うのかを特定する科学的手法も、着実に進歩している。

確かに、気候関連の損害について気候排出者に法的責任を認めた裁判所は、いまだ存在しない。第一に、国家は一般に他国で提起された訴訟から主権免除を受ける。そのため、多くの訴訟は主要な炭素生産企業に焦点を当ててきた。しかし、これらの企業は極めて強力な抗弁に依拠してきた。

石油・ガス企業は世界の化石燃料を採掘・精製・販売しているが、排出の大部分は「燃料を燃焼する車両、発電所、工場」から生じると、コロンビア大学ロースクールのサビン気候変動法センターに所属するマイケル・ジェラードとジェシカ・ウェンツは、ネイチャー(Nature)誌の最近の論考で指摘している。言い換えれば、企業は単に資源を掘り出しているにすぎず、それを燃やすのは他者であり、その責任は企業にはないという主張である。

そのため、異常気象の被害者は、ますます説得力を増す科学的知見を背景に、新たな法的手段や戦略を模索し続けている。フィリピンの原告団は最近、2021年に400人超が死亡し、約80万人が避難を余儀なくされたスーパー台風オデット(台風22号)の発生における役割を巡り、石油大手シェルを提訴した。この訴訟は、気候変動がオデットのような極端な降雨の発生確率を2倍に高めたとする帰属(アトリビューション)研究に部分的に依拠している。

IVAN JOESEFF GUIWANON/GREENPEACE

総じて、企業責任の立証、すなわち特定企業の化石燃料を特定の災害に結び付ける証拠の確保は、以前よりも容易になりつつある。例えば、9月にネイチャー誌に掲載された研究は、21世紀に発生した一連の熱波に対して、特定企業がどの程度寄与したのかを定量的に示すことに成功した。

近年のいくつかの司法判断は、こうした訴訟の勝算が高まりつつある可能性を示している。とりわけ、欧州人権裁判所における気候訴訟の複数の判断は、国家が気候変動の影響から人々を保護する法的義務を負うことを確認した。また、融解する高山氷河が自らの財産を破壊するおそれがあるとしてドイツの電力会社を提訴したペルー人農民の訴えは退けられたものの、ドイツの裁判所は、主要な炭素汚染者が原則として自らの排出に起因する気候損害について責任を問われ得るとの判断を示した。

その原則を実際に検証できる訴訟が、少なくとも1件すでに現れている。2022年の大規模洪水で土地が浸水した数十人のパキスタンの農民が、ドイツの主要な電力・セメント会社2社を訴えた訴訟だ。

たとえこの訴訟が失敗しても、それは科学ではなくシステムの問題である。主要な炭素汚染国と企業は、気候変動による災害に対して不均衡な責任を負っている。

富裕国は、気候変動の脅威がますます深刻化する中にあっても、大気を汚染する事業慣行を奨励し続けた。そして石油・ガス会社は、化石燃料中毒の世界への主要供給者であり続けている。彼らは自らの事業がもたらす社会的、環境的、人的な甚大なコストを十分に認識しながら事業を継続し、これらの害悪に対する支払いや行動の改善を強制するあらゆる規則に対して激しくロビー活動を展開してきた。

彼らがやったのである。彼らは知っていた。法の支配が重要な市民社会において、彼らは代償を支払うべきである。

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ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。
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