努力は報われるのか?40年の仕事人生をシミュレーションした結果
社会において富が偏在しているのは実力主義の結果だという人がいる。しかし、才能があっても裕福でない人もいれば、才能がさほどなくても裕福な人もいる。イタリアのカターニア大学の研究者らが、コンピューター・モデルを用いて、人が裕福になるのを決める要因は何なのかを調べた。 by Emerging Technology from the arXiv2018.03.05
富の配分は有名な法則、いわゆる「80:20の法則」に従っている。富の80%は20%の人によって所有されているという考え方だ。確かに、昨年の報告によると、たった8人の合計財産が、世界で貧しい38億人の人々の合計財産と同じだった。
こうした現象はどの社会でもあらゆる規模で起こっているように思える。これは「べき法則」と呼ばれるよく研究されたパターンであり、広範囲の社会現象で発生する。しかし、富の配分については、公平性や価値といった面で問題を生んでいることから、最も議論を呼んでいる。ほんのわずかな人がそれほど多くの富を手にするのはなぜなのか?
この疑問に対するよくある答えは、世の中は実力主義であり、人は自身の才能、知能、努力などによって報酬を得ているという考えだ。運も大いに影響を与えるだろうが、才能や努力が結果として富の配分を決めるのだと多くの人は思い込んでいる。
しかし、この考えには問題がある。富の配分がべき法則に従っているにもかかわらず、人の能力は一般的に平均値を中心として対称的に分布している。たとえば、IQテストで測定される知能の分布はこのパターンに則っている。平均IQは100だが、1000や1万のIQを持つ人はいない。
同じことが、時間によって測られる努力にも当てはまる。平均より長く働く人もいれば、短い人もいる。しかし、他の人の10億倍の時間、働く人はいない。
それにもかかわらず、仕事の対価を、他の人より10億倍多く受け取っている人もいる。さらに、多くの研究で、裕福な人は概して、裕福であるという以外の尺度では、突出した才能があるわけではないことがわかっている。
それでは、人が裕福になるのを決める要因は何なのだろうか? 思いもよらないほど大きな力を運が与えているのだろうか? そして、その要素がなんであれ、世界を公平でより良い場所にするためには、それらをどのように利用すればよいのだろうか?
その答えの1つとなるのが、イタリアのカターニア大学のアレッサンドロ・プルチーノ准教授と数名の同僚たちの研究だ。プルチーノ准教授らは人間の才能と人がその才能を使って人生の中でチャンスを生かす様子を再現するコンピューター・モデルを開発した。そしてこのモデルを用いて、人生におけるチャンスの役割を研究した。
その結果は注目すべきものだった。プルチーノ准教授らのシミュレーションは現実世界 …
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