KADOKAWA Technology Review
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If we weren’t the first industrial civilization on Earth, would we ever know?

有史以前の工業文明、「サイルリアン仮説」に挑む2人の科学者

人類以前に別の知的生命体が地球上に存在し、工業化社会を作り上げていたかもしれないと想像することは興味深い。2人の科学者は、人類の工業化社会が遠い将来、地球上にどのような痕跡を残し得るかを研究することで、この問いに答えようとしている。 by Emerging Technology from the arXiv2018.05.15

サイルリアン(Silurian)は、イギリスのカルトSFテレビドラマ「ドクター・フー(Dr. Who)」に登場するトカゲに似た外観の知的生命体のことだ。今から約4億5000万年前、人間が進化するよりはるか昔に工業化を成し遂げていた。

もちろん、サイルリアンは架空の生物だ。だが、有史以前に文明を持つ生物が存在したという説を聞くと好奇心が刺激され、色々と面白い疑問が湧いてくる。とりわけ興味深いのは、「はるか昔に工業文明が存在していたとすると、どんな痕跡が残っているのか」という点だ。

現在、ニューヨーク市の米国航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所の気候科学者ギャビン・シュミット博士と、ロチェスター大学のアダム・フランク教授(天体物理学)のおかげで、それに対する1つの答えが出ている。この2人はサイルリアン仮説(人類誕生以前に、高度な文明が栄えていた可能性)を唱えていることで世に知られている。彼らは人類文明が後世に残しそうな痕跡を研究して、数百万年後に検出可能なのかどうかを調べている。結論としては、人類が地球になんらかの痕跡を残す可能性があることは確かだ。しかし、地質記録の中で、人類と関係のないさまざまな事象と区別するのは、ある意味で困難だろうとのことだ。

2人が共著した論文を読むと、地球そのものと人類が地球に与える影響に関してどのように研究すればよいのか、興味深いヒントが見えてくる。宇宙生物学者が何を探せばよいのかを決める手がかりにもなるはずだ。

シュミット博士とフランク教授の論文ではまず、原始地球についての研究がどれだけ不十分かを提示している。陸上で最も太古からの変化が見られない場所は、イスラエル南部のネゲブ砂漠だ。180万年前の状態から変わっていない。ネゲブ砂漠より太古の様子が伺えるのは、資源を採掘した結果、地底がむき出しになった場所だ。こうした制約があるため、ホモサピエンスが活動していた痕跡を遡れるのは250万年前までだ。地質学的には、それほど遠い昔ではない。

海底も比較的最近のものだ。なぜなら海底地殻は常に新陳代謝を繰り返しているからである。そのため海底堆積物はすべてジュラ紀より後のもので、1700万年前よりも新しいことになる。

いずれにせよ、化石になって痕跡を残す生命体の割合はごくわずかだと2人はいう。恐竜たちが地球を支配していたのはおよそ1億8000万年前のことだが、ほぼ全身の化石標本が存在するのはわずか数千体にとどまる。現生人類が地球に現れてからは、ほんの数万年しか経っていない。「ホモサピエンスほど(現時点では)種としての歴史が短い生物は、化石として残ることもなく消えてしまうかもません」とシュミット博士とフランク教授はいう。

人類が作り出した物はどうだろうか。道路、建物、ベークドビーンズの缶詰、シリコンチップなどだ。こういったものも長くは残らないか、残ったとしても発見される可能性は低そうだ。「今のところ都市化したのは、地球の表面積の1%にもなりません」と2人の研究者は指摘する。

「私たちが出した結論は、約400万年よりも昔に文明が存在したとしても、物や生物の個体の化石が発見され、文明が存在したことを示す直接的な証拠が見つかる可能性は低いというものです」と2人はいう。

しかし人類が存在した証拠としては別なものがある。化学的な痕跡も残しているからだ。

シュミット博士とフランク教授は工 …

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