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コネクティビティ Don’t Believe the Claims That the U.S. Is Giving Away the Internet

米議会の保守派有力議員
インターネット民営化に反対

テック企業やインターネット政策の専門家は、インターネットの監督権に関して、議会が誤った議論をしないように迫っている。 by Mike Orcutt2016.09.21

テッド・クルーズ上院議員と、議会の他の共和党員が述べていることとは異なり、米国は外国政府にインターネットを「譲渡」しようなどとは画策していない。その代わり、米国は全世界のインターネットの維持にとって重要な複数の機能を民営化するため、国際的な計画を進めているのだ。事実、多くの米国の政府機関やインターネット政策の専門家、テック企業は、民営化反対の動きはインターネットが政府の干渉を受けないために欠かせない、という。

もしすべてが計画通りに進めば、10月1日に米国商務省の部局であるNTIA(電気通信情報局)は、インターネット管理の「監督者」としての役割から手を引く。現在の監督業務には、インターネット・トラフィックのルーティングに使われるIPアドレスなどのデータベース管理、誰が特定の「トップレベル」のインターネットドメイン(.comや.ukのような)を所有しているかの記録管理が含まれる。

Senator Ted Cruz
テッド・クルーズ上院議員

NTIAはこうした業務の監督者を勤めてきたが、実際に監督権限を行使してきたわけではない。業務は非営利団体、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、本部カリフォルニア州)が取り扱ってきた。ICANNは従来から監督業務を担う体勢があるが、ICANNのNTIAとの契約期限が迫り、状況が変化している。10月1日以降、ICANNは国際的な「多様なステークホルダーコミュニティ」(そのコミュニティの大部分はテック企業で構成される)の代理として仕事をすることになるのだ。

どうして民営化する必要があるのか? 全世界のインターネット管理から、最終的にあらゆる政府の統制を取り除くためだ。

米国はICANNによる管理業務を監督し続けてきた。というのもインターネットは元々、1960年代に国防総省の研究から発展した経緯があるからだ。1998年、商務省はICANNを創設し、そのプロセスを制度化した。しかしNTIA通信情報部門のローレンス・ストリックリング次官補は、ICANNの民営化はそれ以来最終目標であり続けてきた、と先週の上院司法小委員会の公聴会で発言した(米国と各国政府はICANNに助言し続けるだろう)。

インターネット管理プロジェクトの共同創設者兼共同理事で、ジョージア技術大学公共政策科のミルトン・ミューラー教授によれば、移行によってインターネットの管理権を外国政府に譲り渡すことになる、というクルーズ議員の主張は「真実とは真逆」である。ミューラー教授も創設に協力したICANNの目的は、インターネット管理を政府の手から切り離すことだからだ。

ミューラー教授はさらに、米国がこうした機能の民営化への賛成を良しとしないのであれば、中国やロシアといった国の、インターネット管理は国有化されるべき、または国連に委ねられるべき、という主張に説得力を与えかねない、と付け加えた。

全体主義的傾向のある国家による展望は、複数の巨大テック企業を怯えさせている。アマゾンとフェイスブック、グーグルは、連邦議会の幹部に「経済と国家安全保障」のため、計画済みの移行を進めるように促す書簡を送った。

その書簡は「インターネットの特徴はその包摂性と公開性です。こうした重要な特徴は、既定の移行計画に反映されており(略)草案に組み込まれ、遂行される準備はできています」と述べている。

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マイク オルカット [Mike Orcutt]米国版 共同編集者
マイク・オルカットはMIT Technology Reviewの共同編集者です。ワシントンDCに駐在して、米国政府がどのように新興技術を取り入れているか(または取り入れていないか)がわかるような動向を追いかけています。また ワシントンでは、新しいテクノロジー的機会や産業に関わったり妨げになったりする出来事や論争を取材しています。連絡は、mike.orcutt@technologyreview.comまでお願いします。
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