KADOKAWA Technology Review
×
ビジネス・インパクト Insider Online限定
Computational linguistics reveals pervasive gender bias in modern English novels

現代文学に潜む性差別、計算言語学で解明

IBMインド基礎研究所の研究者チームが、計算言語学の手法を用いてブッカー賞(英国の文学賞)にノミネートされた小説を分析したところ、性差別とステレオタイプが浸透していることが明らかになった。男性に対しては優秀や冷酷といった描写が多い一方で、女性は若いや可愛いと書かれていることが多いと言った具合だ。 by Emerging Technology from the arXiv2018.08.17

性差別は、気づかないうちに社会全体に浸透している問題である。その問題が一番はっきりと目に見えてくるのは意図的な差別を通してであるが、広範囲に根づいた無意識な差別の中にも存在している。性差別は、社会、職場、さらには言語の中にさえ、私たちが気づかない形でしばしば浸透している。

この現状を変えるための最初のステップは、差別の存在を明らかにすることだ。そしてこのステップでは、新興の科学分野である計算言語学が役に立つことがわかってきた。

この比較的新しい学問分野では、データマイニングと機械学習を使って文章を研究する。そして計算言語学はすでに、ウィキペディアの記事から言語そのものに至るまで、あらゆるものの中にある差別を明らかにし始めている。

現在、IBMインド基礎研究所のニシュタ・マダーンらの研究チームは、さらに先を進んでいる。マダーンらは計算言語学の手法を使って、ブッカー賞にノミネートされた書籍における顕著な性差別を明らかにしたという。ブッカー賞は世界最高の文学賞の1つで、英語で書かれた最高の創作小説を毎年表彰している。

マダーンらのアプローチは比較的単純なものだ。1969年から2017年までにブッカー賞の最終選考に残ったすべての書籍、しめて275作品を対象にした。研究チームはこれらの小説の本文を分析する代わりに、アマゾンが運営するソーシャル書籍カタログサイト、グッドリーズ(Goodreads)に投稿された説明文を調査した。グッドリーズでは4億冊以上の書籍について、説明、書評、評価を無料で読むことができる。

続いて研究チームは、こうした説明文の中で男性と女性がどのように描写されているのかを調べた。結果は不快なものだった。「これらの書籍において性差別とステレオタイプが浸透していることが明らかになりました。職業、人物紹介、行動など、登場人物たちに関連づけられた様々な特徴に差別が存在 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る