KADOKAWA Technology Review
×
カバーストーリー 無料会員限定
Cows Engineered with Human Genes Could Stop Our Next Disease Outbreak

ウシが作るヒト抗体 発症から2カ月半で量産可

ヒト抗体を生成できるウシの試験が進み、感染症のアウトブレイクを起こさない切り札になるかもしれない。 by Emily Mullin2016.10.05

西アフリカで最近発生したエボラ出血熱のアウトブレイクで、医療従事者は患者に生存した患者から採取した血漿(血液の透明な部分)を注射して治療することがあった。患者の治療に使える承認された医薬品がない中、ドナーの血漿に含まれる防御能力を持ったタンパク質の助けで受容者が病気と闘い回復することが期待されたのだ。

バイオテクノロジー企業が、同じ手法をさまざまな感染症の治療に使おうとしている。ただひとつ違うのは、ヒトではなくウシが血漿ドナーになることだ。

SABバイオセラピューティクス(本社サウスダコタ州)は遺伝子操作した牛に大量のヒト抗体(有害な病原体を体外に除去するのに役立つタンパク質)を作った。急速に除去できるので、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱、インフルエンザのような感染症にかかった患者の治療に使える。WHO(世界保健機関)は、世界的な伝染病アウトブレイクの対応に役立つ有望な新技術基盤6種類から、先ごろ同社のアプローチを認定した。

SABバイオセラピューティクスのエディー・サリバン社長兼CEOは「この背後にあるアイデアの全ては、ヒト抗体は身体が病気と闘う自然な方法ということです」という。

SABバイオセラピュー …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The three big unanswered questions about Sora 時間も資金も溶かす? AI動画SNS「Sora」3つの疑問
  2. EV tax credits are dead in the US. Now what? 米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る