〇〇ペイとは桁違い、
FBがリブラで掲げる
「デジタルID」の巨大構想
フェイスブックが6月に発表した新しいデジタル通貨「リブラ」が話題だ。単なる決済・送金サービスと見る向きもあるが、リブラ協会は「ポータブルな非中央集権型デジタルID」の推進を目的として掲げている。その狙いはどこにあるのか。 by Mike Orcutt2019.07.02
派手な宣伝と憶測の飛び交う数か月を経て、フェイスブックは先月、「リブラ(Libra)」と呼ばれるブロックチェーン・システムの立ち上げ計画をついに発表した。発表以来、新たなブロックチェーンで運用される暗号通貨「リブラ・コイン」が大きな注目を浴びている。
だが、フェイスブックが発表した文書にひっそりと書き込まれたある文言も、リブラ・コインと同じくらい、(あるいはコイン以上に)重要になるかもしれない。プロジェクトの開発を管理するためにフェイスブックが設立した非営利組織「リブラ協会(Libra Association)」は、リブラを使って、デジタル・アイデンティティ(ID)の概念に変革をもたらすことを大きな目標として掲げているのだ。
リブラ協会の役割を説明する文書の終わり近くに、次のような記述がある。「協会のもうひとつの目標は、オープンなIDの規格を開発し、推進することです。私たちは、金融包摂と競争の前提条件として、分散型でポータブルなデジタルIDが必要であると考えます」。
だが、「ポータブルな分散型デジタルID」とは何だろう? 理屈としては、集約された権限を持つ1つの主体を信用して身分証明に用いる情報の認証と管理を任せることを避けるための方法だ。インターネットの利用者にとっては、他のWebサイトが本人確認をする際に、フェイスブックやグーグルのログイン・ツールを使うのではなく、認証用情報を自分自身で所有し、管理することを指す。この方法をとると、情報を企業のサーバーに保存しなくても済むため、理論上は、ハッキングや身分証明情報の盗難に対する安全性が高くなるとされている。
「自己証明型身分証明」と呼ばれるこのコンセプトは、いわばインターネット・テクノロジー業界における聖杯であり、開発者たちが長年にわたって追い求めてきたものだ。以前から、マイクロソフトやIBMなどの大企業や多数のスタートアップが非中央集権型のIDアプリケーションの開発に取り組んでいる。
しかし、これはインターネット以外の分野にも影響する話だ。身分証明の手段をまったく持たない人は全世界で約10億人存在する。そういった人々はこのようなテクノロジーによって、銀行口座やローンなどを手始めに、現状では手の届かない金融サービスを利用できるようになるかもしれないのだ。
フェイスブックがリブラを立ち上げる狙いとして、身分証明が困難な人々の支援が含まれていることは間違いないだろう。実際、同社は、リブラのホワイト・ペーパーで、新システムは「世界中 …
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