転移学習でチープなロボットの能力を向上する新研究
転移学習とは、あるコンテキストから得た知識を別のコンテキストで使う能力である。これを使えば、安価なロボットに、高価なロボットと同様な任務を遂行することを教えられるかもしれない。
ロボット工学が現在直面している最も難しい課題の1つは、実験室の外でもロボットが円滑に作動できるようにすることだ。研究では、ロボットに高価なセンサーを装備し、位置感覚を学ばせるのに理想的な環境を提供できる。だが実世界で同様のセンサーを使っていては、消費者にとっては高くつくうえ、フレンドリーではない。しかも煩雑だし、不完全でもある。
ブリュッセル自由大学とアムステルダム自由大学の研究チームは、問題解決の手段として、転移学習として知られる一種の機械学習に目を向けた。転移学習とは、あるコンテキストで学習したことを別の文脈に適用するプロセスである。転移学習を使えば、実験室でロボットを制御するアルゴリズムを、実社会でロボットを制御できるように適応させられるかもしれない。つまり、優れたセンサーと優れた環境という有利な立場でロボットを訓練し、訓練で学ばせたことを、安価なセンサーと劣悪な環境しかない場合でも活用できるわけだ。
このアイデアを試すため、研究チームはシミュレーション環境でロボットを作成し、まず8個の近接センサーを使ってナビゲートさせ、次に、単一のカメラでナビゲートさせてみた。その結果、単一カメラによる場合では、転移学習を使って意思決定するロボット制御アルゴリズムの方が、転移学習をまったく使わなかったときよりも、はるかに早く部屋中のナビゲートの仕方を学ぶことを発見した。さらに、意思決定ではなく、訓練中に転移学習を使用した場合には、一層早かった。
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